第9話:死神の札殲滅作戦(6)
「いよいよかぁ……」
朝、パーティごとに用意されていたテントの中で紅茶を飲みながらつぶやいた。
「作戦開始まではまだ数時間ある、気を張りすぎないほうがいい」
白が本を読みながらそういった。
あんたは緊張しなさすぎじゃないかな?
「勝てると思う?」
「誰が? 俺が? 冗談はよしてくれよ」
「そうじゃないよ。みんなが」
「どうだろうな」
本を閉じて紅茶を口に含んだ。
「"恋人"レベルの疑似超人が何人もいたらヤバいかもな。けど、それはないだろう」
「どうしてそう言えるの?」
「あんなバケモン、ポンポン生み出されちゃたまんないからだよ」
「ノアちゃんレベルの?」
「私とあんなのを一緒にしないで」
ノアちゃんも入ってきた。
「ああ、だな。ノアはあれよりは強い」
へぇ。白を苦しめたあれよりも……、ね。
「白のその予想が当たってると助かるんだけど」
皆と話をしていた時、外が急に騒がしくなった。
そして……。
「白クン! 夜空! 来て!」
「どうした。そんなに慌てて」
「いいから!」
「わかったわかった」
アルノーに続いて、外に出ると死神の札の基地があった方向にみんなが集まっていた。
誰かを取り囲んでいるようだ。
「こいつなんだ?」
「死神の札の"太陽"ってコードネームの人だって」
「はぁ?」
「冗談じゃあ、ないんだよね?」
「ああ、嘘は言っていないよ」
座り込む太陽の頭に手を置いていた団長さんが立ち上がっていった。
「僕はそれがわかるんだ」
「なるほど」
特殊能力か何かなんだろう。
「信じてください! とにかく僕は亡命したくて……! "星"に合わせてください……!」
「星ちゃんとはどういう関係なの?」
思わず聞いてしまった。
「星と月とは幼馴染で……、うっ!」
ドス、という音共に太陽が倒れた。
「うちの裏切り者が失礼したわね」
森の方から現れたその女が太陽の背中にナイフを投げたようだ。
「"女帝"っ!」
「あ、おい、まて」
白の静止を無視して刀をキロフに振り下ろしてしまった。
「あら、あの時の小娘じゃない。私と踊ってくれるの?」
キロフが後ろに退いていく。
足を強化して力強く地面を蹴り、もう一度キロフに攻撃を仕掛ける。
しかし軽い鳥肌と共に、キロフが短剣を手にしたのを見た。
懐に入り込んで不利なのは私だ。
すぐに下がって適切な距離を取る。
「あら、思ったよりも冷静ね」
「うるさい! ちょっとカッとなっただけ」
だけどそれが悪手だったことは認める。
白たちとだいぶ離れたところに来ちゃった。
「だけどま、それもいいか」
「? どういう意味かしら?」
「ルトさんとソラさんの仇は、私が打つ!」
「おかしな話ね。私はどちらも殺していないわよ?」
「るさい!」
私は全身を強化し攻撃を仕掛けた。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。




