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第9話:死神の札殲滅作戦(5)

「天帝より派遣された冒険者たちがやってきています。どうやら我々が目的の様です」


 薄暗いその基地の中で、死神が各地より招集した疑似超人たちに話しかけた。


「中々に腕が立つものたちのようですよ?」

「そのために任務を中断させて、ここに私たちを集めたの?」


 "女帝"が口を開く。


「ええ、何か問題でも?」

「問題にならないから問題なのよ。私たちの中から数名が残っていれば冒険者程度何人いても返り討ちにできるでしょう? 全員を集める必要がおありかしら?」

「ええ、何しろ、彼らもその中にいるようなのです」

「彼ら?」


 今度は別のメンバーが訊いた。


「ええ。"塔"や"力"を殺した者たちですよ」

「……」

「たーしかに、そりゃあ女帝には荷が重いかもな」


 "皇帝"が高笑いをしながらそういった。


「へえ? あなたなら倒せるとでもいうの?」


 それが不快だった女帝がそう訊いた。


「もちろんだ。何なら一番強い奴と戦わせてくれよ」

「好きにしたらいいわ。けど、あなたの"最終兵器"を使うのは、御免こうむりたいわね」

「あれをやるのは俺も嫌だな。てめぇらが死んだときは使ってやるよ」

「私が死ぬ? 舐められたものね」

「たかが冒険者に殺されかけて逃げ帰ってきたのはどこのどいつだったかな?」

「あの時は私に不利な状況下でわざわざ戦ってあげたのよ」

「それで負けてちゃ、意味ないけどなぁ?」

「やめないか。死神様の御前だぞ」


 別の疑似超人が割って入る。


「いいのですよ。血気が盛んなのはいいことです」


 死神は不気味に笑っている。


「死神様。戦車と吊るされた男のお二方はいらっしゃらないのですか?」

「彼らは外すことのできない任務に就いています。こちらに来ることはありません」

「そうか。そいつは残念だな」


 皇帝がそう声を漏らした。

 その二人の戦闘力は"恋人"をも上回るとされ、疑似超人の中でも特別な存在なのだ。

 彼らがいないのは皇帝でも不安を覚える。


「皇帝、あなたに指揮を任せます」

「了解したぜ」

「私は万が一に備え、ここの記録を消していきます。任せましたよ」


 その言葉を聞いて、疑似超人たちが準備を始める。


(ま、勝てないとは思いますがね。彼らの"目"を通してでも、やつらの戦闘を見ることができるだけで次のフェーズには十分……)

「酷いな、"銃把"よ」


 その場に突如現れた男が死神に話しかけられた。


「おやおや"弾倉"。酷いとは何のことでしょう?」

「貴様の作った兵たちだろう?」

「ふ。もともと、彼らは駒にすぎない。それより何の用ですか?」

「いや、最悪の場合加勢しようかと思っていたのだがな」

「いえ、必要ありません。我々は退くことにしましょう。次の計画を進めるために」


 死神は嫌な笑いを止めることはなかった。

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