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第9話:死神の札殲滅作戦(4)

 数日後の夕方。

 とある森の中の広場にて……。


「すごいね。あっという間に出来上がっちゃった」

「うちらみたいな大人数の冒険団となると、こういうことはしょっちゅうだからね」


 焚火を囲みながらシンビィさんと話している。


「私たちなんて、結界張ってテント立てて終わりだよ」

「それはそれで、楽そうでいいけど」


 今は奇襲を仕掛ける予定の遺跡の近くに来ていた。明日攻めこむ予定。


「うぅ……、心配だなぁ……」

「明日の事?」

「うん……」

「ま、今心配してても仕方ないさ。ほら飯」


 白が私たち二人にご飯を持ってきてくれた。


「ありがと」


 白が近くにいたノアちゃんにも座った。

 今回の作戦には各々の判断でそれぞれのパーティのメンバーを連れてくることが許された。

 私たちのパーティからはもちろん二人を連れてきた。

 魅風はもともと二人のパーティ。

 冒険団ファンタジアは、団員が数名参加。

 そしてアルノたちのパーティは……。


「や、みんな集まってるね」

「ほーんとこのファアニイちゃんにこんなところで食事させるなんて、ファンのみんなが聞いたら……」

「ファアニイ、そう言わずにさ」


 アルノとファアニイが遅れてみんなが囲む焚火のところに食事を持ちながら来た。

 空いていた私の隣に座る。


「ねえ、アルノたちが連れてきたもう一人のパーティメンバーって? ここに来るまででまだ見てないんだけど」

「あーえっと、あいつ、低所恐怖症なんだ」

「え、てい……、え? そんなのあるの?」


 愛歌の方を見た。

 博識な愛歌なら知ってるかも?


「高い建物がある場所とか、快晴の空とかが苦手ってやつ?」


 愛歌訊いた。

 あー、私たちの世界にも一応ある恐怖症なのかな?


「んーん。そういうんじゃなくて、その空間における低い所が嫌いなんだってさ。床とか地面とか」

「……えぇ……、そんなことある?」

「面白いわね。普段どうやって生活しているのかしら?」


 愛歌が興味津々に訊いた。


「普段は天井に張り付いたり箪笥の上に居たりするよ。街は屋上を歩いて、外ではほら今あそこで見張りをしてくれてるよ。ご飯持ってってあげてたんだ」


 そう言って辺りにあった一際高い気を指さした。


「すごい執念ね。昔チョ〇ラータに襲われた経験でもあるの?」


 うん確かにね。殺人カビに感染しちゃうからね。

 って、わかりにくいわ! この世界の誰がわかんだよ、その例え!


「えーっと、そのチョコなんとかっていうのが何かは知らないけど、まあ、うちは変なのばっか集まってくるパーティだからね」  

「ちょっと! ファアニイちゃんを一緒にしないでもらえる?!」

「うん、まあ、確かに」

「ちょっと!! 失礼ね!」


 本当に懲りないメスガキだ……。

 まあ今はほっておくけど。


「戦えるの? その人」


 魅風のもう一人、妹のイヴィさんが訊いた。

 ノアちゃんとは違う路線の無口さを感じる方だった。

 なんていうのかな、ノアちゃんは無駄なことはしたくないみたいな感じの圧とかがあるタイプなんだけど、イヴィさんは話すことが思いつかないから口を開かないって感じだ。こちらから話すと普通に返してくれる。


「うん。こういう森の中だと、木の上からの奇襲やゲリラ的な戦闘が得意でね。役に立ってくれると思うよ。今も敵に近い場所だし、見張りをしてくれてるしね」

「確かにね。うちの団員にも周りを見張らせているが、上から確認をしてくれるのは助かる」


 冒険者団の団長さんが口を開いた。銀髪ロングの美男子だ。


「でしょ?」


 その後もみんなで火を囲い、気づけば夜が更けていた。

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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