第9話:死神の札殲滅作戦(1)
「て、天帝からのお呼び出し?」
朝食後出かける皆で出かけるというので、白が今朝届いた手紙について話してくれた。
その内容がそれだ。
「そ、明日の昼だ」
「……何やらかしたの?」
天帝から直接来いってだいぶだよ……??
「そんなんじゃないよ。依頼だ」
「ああ、なんだ。依頼かぁ……。安心安心」
……。
「天帝からぁっ?!」
どゆこと???!
「死神の札に関する話だ。ほら今まで手に入れた奴らの情報、全部一応フラエル政府にも提出してただろ?」
「うん」
愛歌の頭の中にコピペできるから、怪しまれないように全て提出していた。
「そこから分かった奴らの基地、それを潰す計画に加わって欲しいってさ」
「あー」
あいつらに関わる殆どの事件に私たちは立ち会ってきた。
そりゃ呼ばれるか……。
「ってことで明日行くから」
「そっか……、明日か……」
……それって問題が山積みじゃない?
「で、今からどこに行こうとしているの?」
「ほら、俺らはこの国のフォーマルな服とか知らないだろ? お偉いさんの前でのマナーとかも」
「そうだね」
「ってなわけで、詳しい人に聞きに行こうと思って」
へぇ、意外。
クエストに行くとか言い始めたらつねろうと思ってたんだけど。
「白って身だしなみとかマナーとか気を遣うんだね」
今更ながら幼馴染の意外な一面を見た。
「まあそういうのって、いちゃん効率のいいコミュニケーションツールだからな」
「……」
ああ、やっぱり白は白だと思った。
1時間後、アルノとあった。白が手紙をもらってすぐ、愛歌を飛ばして約束を取り付けたらしい。
しかしアルノはもう一人誰かを連れてきていた。
「えっとこの人はね、"魅風"のリーフさんだよ」
そう言って紹介してくれた。
"魅風"は新蜂で有名なパーティだったはずだ。
会ったのは初めてだけど。
「アルノ様のご友人ですね。ハーフエルフのリーフと申します。以後お見知りおきを」
そういって優雅に一礼した。なんて言うか愛歌よりお嬢様っぽい。
私たちも自己紹介をした。
「いやあ、頼ってもらったから嬉しくて快諾しちゃったけど、ボクって実はクレルラルの出身でさ。この国の詳しい文化とか知らないんだよね」
「え、そうなの?」
「そう。で、せっかくなら本場の方に教えてもらおうかと思って、リーフさんを呼んだんだ」
おお。確かにエルフの人ならエルフの文化作法にも詳しいよね。
「アルノさんのお話ですと、皆様も天帝様よりお呼び出しがかかっているとか」
「はい……。え、リーフさんも?」
「っていうかボクもだよ」
「ええ?! ガイルには?」
「あいつにはかかってないよ。あったり前でしょ」
「この感じだと新蜂全員に声がかかってるのかもしれないわね」
みんなで話しながら街を歩いた。
「それで皆様は明日のための衣服をご所望であるとか。今の物ではだめなのですか?」
「私たちが着てるのも持っているのも冒険者用の物ですし、堅い場にはもっとフォーマルな物の方がいいですよね?」
「フォーマルといいますとクレルラルのスーツや、シンノミヤの礼服のようなものでしょうか?」
「そうそう。そういうの」
アルノが答える。
リーフさんが一瞬考えたのちにまた口を開いた。
「そうですね……。基本的にエルフは種族間で上下関係を作ったりはしないのです。巫女様……、天帝様に忠誠は捧げていますが、上下関係ではないのですよ」
人間だと少し感覚が難しいな。
「故に厳格なマナーやそれ用の衣類があったりはしないのです」
「へぇ、そうなんだ」
「とはいえ、一応そういった場にはその季節に合った樹のアクセサリー……、今ですと枯れ枝を模したアクセサリーをどこかに身に着けるのが好ましいとされますね」
ああ、この辺り年中通して温かいから冬だったこと忘れてた。
大樹は常緑樹だけど、ちゃんと枯れる木もあるんだよね。
「じゃあ、そのアクセ選びお願いできますか」
「お任せください」
私たちはその後いろいろとリーフさんから話を聞きながらアクセサリーを選んだ。
次回も読みに来ていただけたら嬉しいです。




