第8話:大樹の巫女祭(1)
「夜空さん、これ報酬の分け前です。ありがとうございました」
街に入るための関所を少し過ぎたとこで、そのパーティのリーダーに言われた。
「いえいえ、こちらこそ。同じ地方で別の依頼があったので、丁度よかったんです」
最近仲良くなった冒険者パーティと共同で依頼を完了させ帰ってきたところだ。
冒険者間でのメンバーの入れ替えや強力はよく行われている。人それぞれできることが違ったりするから依頼に合わせて必要な人材を借りたりするのだ。
というか、白やノアちゃんのように、どんな依頼も自分でこなしてしまう冒険者の方が珍しい。
「いやいやこちらこそ、本当に助かりました。さすが新蜂の夜空さんですね」
新蜂と言うのは、ここ三年以内に冒険者を始めたのにもかかわらず、急激に依頼達成数を伸ばしている八人の冒険者だ。蜂はこの国では神聖視されてる生物の一つだからね。
私の場合、完全に白たちのおこぼれなんだけど……。
うちのパーティは私と白の二人が新蜂だ。ノアちゃんは普段目立たない様にしているためか有名じゃない。本人もそれを望んでいるようで、新蜂リストからも漏れている。
あと六人は他3つのパーティから二人ずつ出ている。
まず、一部の人々からカルト的人気を得ている双子の姉妹パーティ、通称『魅風』の二人。依頼達成数は活動開始約一年半で501件。
その姉のリーフと妹のイヴィ。
大冒険団『ファンタジア』の団長と副団長の二人。活動開始時期は二年前で冒険団全体では依頼達成数6112件、二人だけだと725件。
団長は金髪の男性ノールで、副団長は銀髪ダークエルフの女性シンビィだ。
最後は一応ベテラン冒険者であるガイルのパーティに所属する二人。
二人は私も知っている。
一人は冒険者のアイドルを自称する女性、ファアニイ。
活動開始時期は約一年前。達成数は310件。ファアニイがガイルのパーティだってのを知ったのは、この前の事件の時からだけどね。なんか本人は隠したいらしいから。気持ちはわかるけど。
もう一人は性別年齢未公開の人間、アルノ。この前一緒にクエストに行った子だね
活動開始時期は新蜂で一番古参の三年前。達成数は1013件。
一般冒険者パーティが一年に達成する依頼達成数は大体70前後。80行けば多い方だ。
彼らの達成件数がかなり多い、という事が分かってもらえると思う。単純計算でも一日に一件以上。休みの日も考えればそれ以上と考えられるだろう。
そんな優秀な依頼達成能力を持った八人が新蜂として巷では話題になっているのだ。
ちなみに、うちのパーティはと言うと―――
活動期間は一年弱で、達成数は693件。早いどうこうの話じゃない。異常だ。
同時にこなしているクエストも多いので総和はずれるが、それぞれの達成数は私が121件、白が315件、ノアちゃんが557件。愛歌は基本裏方に徹しているので割愛したが、異常さがわかるだろう。
何を隠そううちのパーティ、ノアちゃんが優秀過ぎる。絶対に私よりもノアちゃんが新蜂に入るべきだと思うんだけど、本人は目立ちたがらないんだよね……。
その分がこっちに来てるのどうかしてほしい。
そんな事を思いながら、家に帰った。
次回も読んでいただけたら嬉しいです。




