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第7話:フラウロウでの日々(4)

 通された部屋は、剣を振るうことができる広さと模型がある部屋だった。


「参考にしたいので先に今使っている剣を見せていただいてもいいですか?」

「はい、どうぞ」


 杖を渡す。


「なるほど、仕込み刀ですか」


 そう言って、剣を抜いた。


「両刃、細身、刃渡り約110cm、とても軽いですね。これは何の金属を?」

「えっと……、さぁ? 白から借りたもので」


 たぶn、別世界の鉱石だろう。


「見たことない金属です。美しい光沢だ」


 刃の腹をつつ、となぞる。


「買うものはこれに近いのにしますか? それとも全く別のものに?」

「んー、あんまり細かいことは決めてなくて……」

「そうですか……、ふむ」


 セミさんが、もう一度剣を見る。


「本来なら、夜空さんにあった剣を作った方がいいかもしれないのですが、細かい要望がないとなると……」


 黙り込んでその剣を観察しているようだった。

 なんか申し訳ない気持ちになりながら、続きを待った。


「夜空さんには、片刃の剣の方が合っているかもしれませんね」

「え?」


 なんか片刃の剣って使い方制限されちゃいそうなイメージなんだけど。


「傷が回復するタイプの魔法金属のようで傷は少ないのですが、直近の刃こぼれや表面のすり減りはあるんです。それが片方に集中している。その反対側の刃にも少々の傷は見られるものの、同じようなすり減りは少ない。つまり受けで使ってることが多いという事でしょう。なら、思い切って片刃にしてしまうのも、選択肢としてはありですよ。こういった片刃の剣ですと、単純な斬撃は両刃より得意だったりするんです」

「見ただけで、そんな事がわかるんですか?」

「家を見れば住んでいる人がどんな生活を送っているか想像がつくのと同じですよ。これくらいは武器を扱うものとして当たり前の能力です」


 そういいながら剣をしまい私に返す。


「少し待っていてください」


 一度下に下がり、魔法の台車にいくつかの武器を乗せ持ってきた。

 そして剣を一振り持ち上げた。

 青い光沢を帯びた細身の剣だ。


「トナクノイド大陸のリタイト火山原産の青金鋼(ムーニータイト)製のサーベルです」


 そのサーベルを受け取る。

 ……重い。

 見た目に反して重い。これを戦闘で使えないほど私も弱くはないが、なれるまでは少し疲れそうだ。

 いや、白から貰った剣が軽すぎたのかも。あれで慣れてたのがよくなかったかな。

 部屋にあった模型で試し斬りをする。

 ザクン、と模型を斬りきることができたのだが、何というか……。


「感じが違う、というか……」


 "斬った"、というより、"叩き斬った"という感覚だ。

 確かに強力な武器だろうけど、今までとは使い方が変わっちゃうな。感覚的には使いこなせる自信がない。

 その後も剣を三回ほど回転させながら素振りし、宙に軽く投げ、一回転させキャッチ、それを三回ほどリズミカルに繰り返して鞘にしまう。

 ノアちゃんから教えてもらった剣に慣れるための体操だ。今では手癖みたいな物だけど。

 やっぱり、ちょっと馴染まないな。


「納得いかないようですね」

「わかりますか? せっかく新しい物にするんだから新鮮な物でも良いんでしょうけど……」

「いえ、武器は命を預ける道具です。これを選んでも、今までものでいいや、となってしまうでしょう。納得いくものを選んだ方がいいですよ。ですから正直な感想を言ってください」


 私たちは武器の試し切りをつづける。

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

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