第7話:フラウロウでの日々(1)
ラヴィスの事件のあと、色々と忙しくしていた。
まず白が殺人の容疑がかかった。ただ色々な目撃情報や監視カメラの映像なんかから、ラヴィスが放火したこととか、あまりにも危険人物だったことなど色々なことがわかり、一日とたた疑いは晴れた。
その後、ラヴィスの殺人やスパイ行為といった数々の犯罪行為も明らかとなった。
彼女が国の方でどういう扱いとなったのかはわからないが、私たちもあることを危惧するようになった。
疑似超人であるラヴィスがもし、十中八九そうだが、もし死神の札のメンバーだったのであれば、この街に他にも潜入しているメンバーがいるかもしれない。
いやそれどころか、基地とか研究所とかそういうのがあるかもしれない。
また襲撃されてはたまらないため、それを探すことになった。もちろん、冒険者としての仕事はしつつ手分けしてね。
しかし数十日見つからず、結果今のところはいない、もしくは見つけることのできない何かで秘匿している、という結果になった。
そして半年近くが経過し、私たちがこの世界に来てもうすぐ一年が経とうとしていた……。
フラウロウのスラム街にて。
小さな小屋に男たちが集まっていた。
「もう沢山だっ! 暗黒期終了後以降上がり続ける税金、冒険者に頼り切った政策、竜や危険な犯罪者が街に入り込んできていたのにもかかわらず、それに対して何の対策も打とうとしていない姿勢っ!」
「そうだ! もう天帝の時代は終わった! 今手を打たなくては、我々の状況は悪くなる一方だ!」
いやあ、まあねぇ。確かに言うことも一理あるんだけども。
税金なんて日本とそこまで変わらないし、その割に日本よりも住みやすいかもなんて思い始めてるよ。
時々極悪人は現れる者の基本の治安はかなりいい。独裁制を取っているのにも関わらず、自由の国を謳うだけあって多くの自由も与えられている。娯楽も豊富。
その割に食うに困った人がいれば、その人が自立できるよう補助もしてくれる。スラム街はそれを拒む自由を選択した人が集まってできた場所だ。
エルフがあまり好まないから科学はあまり発展してないように思う。しかしそこを魔法学で補っている。
いろいろな面で見ても、元の世界とあまり遜色のない生活を送れると思う。
天帝さんは長い目で見ても賢帝と呼ばれるにふさわしい人物だと思う。
そんなに文句を言うほどかな、と思ってしまうのだ。
「というわけで、あなたがたには私たちの手伝いを依頼したいのです」
「それって革命の手伝いってことでしょ……」
この国の不思議な法体系として、革命を企てること自体は違法にならない。人の思想を縛り付けることは自由に背くことだという考えかららしいが、天帝さんの絶対的な自信がうかがえる。
もちろんその途中で殺人や盗み、スパイ行為を行えば、それぞれの罪では裁かれる。
しかし革命や日本で最も重い罪とされる外観誘致を企てたりしたとしても、それ自体は罪にはならないんだ。
実際なんどか革命が起こった記録は残っているが、天帝や治安隊によってことごとく鎮圧されている。
「そうです。報酬はこれでどうでしょう?」
そういって、箱に入った大量の札束を見せられた。
「もちろん、こんな依頼は受けられないですよ」
「……そうですか。では他の冒険者を探すことに……」
珍しいことではないのだろう。一瞬落ち込んだようだけど、すぐに切り替えていた。
そこまで話したとき、外が騒がしくなった。
「それは無理だな。俺の仲間が治安隊に通報した」
「な?! しかし……」
「確かに革命の企てはいほうじゃあない。だが、その金の方は別だろ?」
「?!」
依頼の手紙をもらった時、この組織を調べた。
先ほど見せられたお金は、スラム街の人々から無理やり巻き上げかき集めたものであるらしいことがわかったのだ。
私たちへの依頼料だけでなく、武器を買うのにも使うのだろう。
詐欺まがいの事もしていたようだしそれは流石に犯罪なので、愛歌に通報させてたってわけだ。
「ってなわけでこれで失礼」
「貴様らぁあああっ!」
私たちはその場を後にした。
今回はかなり長くなってしまいました。ただ第七話はそこまで長くならない予定です。
次回も読みに来ていただけたら嬉しいです。




