第5話:みんなは今日何をした? 私はね、お掃除(3)
「見つからないねぇ」
「もう疲れたよ……」
フラウロウより南に大きく広がるストラスト平原を東の河沿いにさらに南下した場所にある町で一泊したのち、私たちはフラエル皇国の中のターグ地方にて3日間その周囲を探索し続けていた。
この世界では常夏の国として知られているフラエル皇国だがその支配地域である大陸は広く、この辺りまで南下してしまえば、かなり肌寒い日も出てくる。
この地方で比較的大きな漁村であるタグ村にて一泊した後に、印のあった場所の探索を始めた。
ターグ地方は全体の八割という広大な範囲が湿地の森、という探索には厳しい環境だ。
「気候的には過ごしやすいんだけどね……。歩いてるだけで疲れるよ」
文句を言いながら、沼地に足を取られないよう気を付けながら探索をつづける。
時々魔獣を無力化したり狩ったりしながら塔の研究所を探していた。
その間私に憑りついている愛歌が、
『白から連絡。あっちでは洞窟の中の基地で死神の札と遭遇、戦闘。そこにいたトップである"ソード"を拘束し叩き潰すことに成功。現在フラウロウまで連行中』
『ノアちゃんからも連絡。森の中に潜んでいた死神の札と遭遇、戦闘。率いていた"ペンタクル"が放った魔法が暴走。そいつごと叩き切ることで鎮圧に成功』
と他二人の情報を共有してくれた。
『白がフラエル軍の治安隊に"ソード"の引き渡しを終え、また他の基地の捜索を開始』
その報告を受けそろそろ一日が経ちそうだ。
しかし夕方、未だに何の手がかりも得られず、近くの街に帰ってくることになった。
「はぁ……。もう一日歩き回ってくたくた……」
軽い夕食だけ売店で買って歩きながら食べて帰り、宿に着くや否やベッドに体を放り投げた。
「お疲れ様」
愛歌が体の中から出てきて労ってくれた。
あー。ねむ。
まずいなぁ。まだシャワーも浴びてないのに、このままだとねむっちゃ……。
………………。
…………。
……。
「きゃあああああっ!?」
そんな叫び声で目が覚めた。
帰ってきたころはまだ明かるかった空がもう暗くなっている。
「何?!」
「わかんないけど外から……」
ドーンっ!
今度は大きな地響きがどこかから鳴った。
『とにかく外に出よう!』
体の中に入ってきた愛歌がそういった。
「もう……、仕方ない!」
剣をもってベランダに出た。
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