第4話:夢見るパンドラ(16)
私たちが孤児院を離れる日、サニちゃんが私たちに駆け寄ってきた。
愛歌さんが歩けるようにしてあげたらしい。代償として魔力を常に消費し続ける体になっちゃったみたいだけど、毎晩ぐっすり眠れそうでラッキーですね、なんてサニちゃんは言っていた。
あと寿命も延びたんだって、10年くらい!
本当に良かった。
「あの、謝りたくて」
「何を?」
「その、会ったばかりのとき、酷い態度をとってしまったから……」
「ううん、全然大丈夫だよ」
私も少し無神経だったかもしれないし。
「改めてありがとうございました。その色々と」
私たち三人に頭を下げた。
「うん。サニちゃんが無事でよかった」
私が返すとサニちゃんが顔を上げる。
「私……、えと、残りの人生でできるかわからないですけど」
少し照れながら続きを話す。
一瞬ノアちゃんの事を見た気がした。
「夜空さんみたいな、ノアさんみたいな、愛歌さんみたいな……、皆さんみたいな冒険者になりたいです」
そう初めて見せた満面の笑みでそういってくれた。
その事に感極まってついサニちゃんを抱きしめてしまった。
「大丈夫、きっとなれるよ」
私なんてまだまだ大したことないんだけど、そういってくれたこともうれしかった。
「はい。皆さんに貰った命無駄にはしません」
この子が冒険者になるまで私たちがこの世界にいられるかわからないけど、でもまたこの子には必ず会おう、とそう決めた日だった。
第4話は2週間以上に渡って投稿、という自分で思っていたより長めのエピソードになりました。
僕は登場人物はもちろん全員善悪関係なく好きなのですが、今後の全編も含め特にお気に入りなのがノアです。このエピソードもノアの魅力を書きたくて作った話です。
ですがキャラの性格上、あまり魅力が伝わっていないんじゃないかなと思ってしまい、自分の実力不足を感じてしまいます。
これからもノアは活躍していますので、明日からも読みに来ていただけたらと思います。
「……………………、私は? 私はお気に入りじゃないのかしら?」
えーっと、愛歌さんは……、ね。えっと、自分の性癖を詰め込んだキャラだから、もちろんお気に入りなんですけどね。
「え、気持ち悪いわよ?」
そういうとことか、こういう場に出てくるとことか最近便利なピエロ的な立ち位置にしか見えなくて……。
「酷い!」




