エルリフィ VS ガン
―――少し前・上空・エルリフィ
「本当に面倒じゃな」
ドラゴンとなったガンに後ろを追いかけまわされる。
速度と小回りの効きならエルリフィの方が上だが……。
「面倒じゃな」
ガンが炎を口から炎を吐き出す。
同時に魔術も作り出し飛ばしてきた。
急降下急減速することでその二つを避けつつ、後ろを取った。
「まあよい。楽しくなってきたではないか」
再度上昇加速し、ガンの背に乗った。
そしてまるでガラスで作ったかのように透明な剣二本を取り出し、背を走り裂いていく。
痛みに気づいたガンは振り落とそうと暴れまわる。
エルリフィは魔法で足の裏から枝を生やし、その背に刺して自身の動きを固定する。
背に手を置き、重力を加える魔法をガンに付与する。
ズン。
とガンが地面に向かって急降下してゆく。その最中、ガンが変身を解く。エルリフィも足場を失い、あた魂源:星翔を使用し、もう一度翼を作り出した。
ガンも少し離れたところで、ドラゴンに再度変身する。
「なるほどのぅ」
ガンが竜人の姿になった一瞬、エルリフィはガンの背からは血液が飛び出ていたのを見た。
あのドラゴンに変身した体へのダメージはガンには入らない、とエルリフィは勝手に思い込んでいた。しかしあの巨体にダメージを与えれば本人にもダメージが入るというのであれば話は別だ。
実際ドラゴン状態での防御力には目を見張るものがある。しかしそれの突破は、エルリフィにとっては造作もないことだった。
「星翔!」
エルリフィはその魂源の名の通り、飛翔から星翔に、”星言葉”へと進化を遂げている。
そしてその空を翔ける、速さ、そして強さは彗星にも匹敵する。
その状態での突進。ガンの片翼が落とされる。
ガンは咆哮し、必死の抵抗を試みるが、地面に堕とされることすら許されない。
そして……。
「ふん。妾の世界で好き勝手してくれた礼じゃ」
ガンの体は大海に沈み堕ちていった……。




