第4話:夢見るパンドラ(11)
「もうやめてください!」
殴打と激痛の雨が止んだのは、そんな声が響いた時だった。
サニちゃんの声だ。
「私、あなた方の仲間になります。だから、その人から離れてください。でなければ、ここで舌を噛み切んで死にます!」
サニちゃんは震えながら声を出していた。
「ちょ、がっ。げほっ」
私は止めようとするが、体に負ったダメージが深くうまく言葉を紡げない。
「ふむ。ワンド。一度下がれ」
「……はっ」
ワンドが私から離れた。
「それで? 本当に疑似超人になるつもりはあるのかね?」
「それになれば、もう一度足で歩けるようになるんですよね」
「ああ」
「寿命も少しは伸びるんですよね」
「少しどころか恒久の生を与えられるぞ」
塔は甘い言葉をサニちゃんにかける。
「だ、め……」
まだ痛みでうまく声がだせない。
「わかりました。その代わり、夜空さんをここから逃がしてあげてください」
「ふむ。まあ、その程度の者であれば問題ないだろう。それも約束しよう」
「だめだ、よ、サニちゃん」
こんどはうまく言葉が紡げた。
「いいんです。悪い人のいいなりになるのは嫌だけど……、それでもそれが誰かのためになるなら……」
「サニちゃん! 聞いて!」
さっき言いたかったことを繋げる。
「生きたいって思う事に、何かしたいって思う事に! 意味なんて求めなくていいんだよ!」
「……え?」
「たくさんの物を失っちゃって、命が長くないこともわかって、見える世界が憎くて憎くて。それでもこの世界で生きたいと願ってしまって……。その矛盾をどこか気持ち悪く感じてしまってるんだよね?」
「……。さあ」
「……いいんだよ。そんなことに意味なんてなくて、欲望にも憎しみにも、意味を探す必要なんてないから。もっと今や明日やサニちゃん自身を大事にしてよ」
何とか体を起こす。
「だから、サニちゃんがあいつらの仲間になりたくて仕方ないなら、そうしたらいい。でもきっとそんなの……」
「それはあまりいい判断とはいえない」
私の後ろから聞き覚えのある声でそう被せてきた。
「ノアちゃん……、やっと来たぁ……」
あと数分遅かったらちょっとヤバかったかも……。
「どうでもいいけど、なんで夜空たちがここにいるの?」
「さあね。理屈は私が聞きたいよ」
「まあいいけど」
ノアちゃんが歩いて入ってくる。
明日もよろしくお願いします。




