白 VS ライグ(2)
ライグに向けて飛び出していき、攻撃を仕掛ける。
時間を遅くされたと気づいたタイミングで水闘気力と黒闘気力を併用し攻撃する。
吹っ飛んでいくライグは血をはきながら受け身を取り、自身に回復魔法をかけつつ、さらに俺への牽制のために魔術をいくつか撃ち出してくる。
剣2本と水闘気力でそれを受ける。魔術の衝撃で俺の方に飛んできた剣2本を触手で受け止める。そして受け止めた触手2体を俺から切り離し、自由に暴れさせた。
ライグはそれをものともせず処理し、次の魔術の準備をする。
その部屋の天が真っ赤に染まる。見上げると空間の裂け目のようなものの先に赤い点が見えた。それがすぐに近づいてくる。
「っ!? うっそだろ……」
どうやってんのかはわからないが、おそらく宇宙上の流星群か小惑星帯か何かと繋げ、それを操って俺に落とそうとして来ているらしい。
普通の魔法でできることじゃない。ってか自分も危ないんじゃないのか?
「女神の栄光II!!」
もともとかけてあった強化魔術を一度解除し、もう一度かけ直すと同時に黒闘気力に食わせ、効果を倍増させる。肉体の疲労と精神汚染も加速するが仕方がない。
強化がギリギリのところで間に合い、最初の隕石を受け止める。
「あっつ……」
ジュっっと体が熱せられるのを感じた。急いでそれを抱き砕く。
その後降ってくる隕石を打ち砕いて行く。
見るとライグには一切隕石が降り注いでおらず、更には衝撃すらも魔術でやり過ごしていた。
「はぁ……、はぁ……。本当すげぇよ」
やっと隕石の雨が降りやみ、ライグにそう言った。
「すげぇ魔法使いだよ。俺があった中で第二位だ」
「二位?」
ライグが不満そうに訊き返してきた。
「ああ、二番目だね」
「そうか。それはプライドが傷つくな」
「わりぃな。そこは譲れねぇ」
ユィリスのことを思い出しながら言った。
「そうか」
次の瞬間、頭上に7、8個の魔術が現れる。時止めと時間操作を同時に使ったのだろう。
攻撃が一斉に降り注がれる。それを生み出した触手を天井に貼り付け、水闘気力を流し込んだ動きを応用し急上昇した。
「?」
俺も触手をクッションにしなくては天井に頭をぶつけるかと思うくらいのスピードだったため、あの攻撃の嵐の中ではライグは脱出に気がついていないだろう。触手をロープのようにして天井にぶら下がり、水闘気力で加速させ振り子のようにしてライグを蹴り上げた。考える間を与えまいと、空中で無数の触手による連撃を与えた。
「っ……!」
黒闘気力の連続使用に耐えかね、攻撃したのはこっちだってのに俺も苦しさから地面に転がった。
吹っ飛んでいったライグは、ギリギリのところで持ちこたえて着地した。俺は倒れるそのライグの影にバレないように、黒闘気力を切り離し潜り込ませていた。
黒闘気力の影響か出てきていた鼻血を拭い、影に潜らせた気力を操作する。するとその影が動き出し、ライグの動きを止めた。
「な! くそ。離れん!」
「そこでじっとしておきな! 分黒化:50%」
俺は左親指の表皮を噛みちぎり、流れ出る血で右腕の肩から手首までまっすぐ線を引いた。その血液から黒い触手が出てきて、腕にまとわりついて行った。
3秒後、俺の右腕は肥大化し真っ黒になっていた。
「|虚無へと開く門の鍵《ヨグ=ソトース・ロック》」
その腕でライグを殴った。またもライグは吹っ飛んでいく。
「……そのような力、あの時から隠していたのですか……」
しかし老体にしては恐るべき耐久力でまだそこに立っている。
痛みすら増幅してさらに流し込む技だったんだがな……。
「あの時ってのがいつのことがわかんないんだけど」
「ふっ。いや昔、それを隠していたことに気づけなかった、私の負けですな……」
そういってライグはやっと力尽き倒れた。それを確認してすぐ、この要塞全体が大きく揺れた。そして、少しづつその要塞が崩れ始めているようなそんな感じがしてきた。
「ちぃ! 誰だこんな派手な衝撃与えた馬鹿は!」
こっちは魔力も気力も半分以上消費してクタクタだってのに、一息つかせてもくれやしない。




