紅花夜空奪還作戦(2)
「あれか?」
島を歩いていくこと数日。物々しい雰囲気の建物があった。
島といってもかなり広い島だったので、その場所に行くのにかなりの時間がかかった。
しかし妙なのは……。
「ここまで楽勝だったでござるな。敵軍と言えど大したことなかったでござるよ」
「しずくちゃんのバカ! なんでフラグ立てるの?!」
「ふらぐ?」
しずくの言う通り、あまりに警備が手薄。ここまで、魔獣との大した戦闘も無く来れてしまった。
敵の居城に入るためには、結界の唯一の穴が開いている橋を通らなければいけない。明らかに罠だ。
「ま、嫌な予感はするが、行くしかないんだよな……」
結局のところその橋を俺たちは渡らざるをえなかった。そして俺たちは背後からの猛攻撃を受けることになる。
正確に言うと無数の魔獣を従え、数人の敵幹部と思われる者たちが出てきた。
「やはりこうなってしまったか」
エルリフィが言いながら前に出る。
「なにする気だ?」
「何をも何も、殿にはそれを任せるに足るだけの強者が必要であろう?」
そりゃそうだけど。
「ゆえ、妾が受け持とうと言っておるのじゃ」
「そりゃありがたいけど、この数全部相手にするつもりなのか?」
「そう思うなら早くするんじゃな」
「私も残ります」
ルトが言った。
「案内役ですからね。この先では役に立ちそうもありませんし。しかし魔獣相手ならお任せください。魔獣ハンターの腕をお見せしましょう」
「ならわたくしどもも」
「残るのがよいでござろうな」
ルトに続くようにしずくとナミネも言った。
「本当に、大丈夫か?」
「なに。妾が死なせはせんよ」
そりゃ心強いけどさ。
「拙者、ししょーの弟子でござる。その力を疑うのはご自身の力を疑うのも同然でござるよ」
……。
「はあ……、わかったよ。頼んだからな」
「任せるでござる」
「愛歌も念のため残ってくれ」
「えー、夜空ちゃんとの感動の再開を楽しみにしてたんだけどな……。しかたないか」
そういってしずくの中に入っていった。
「ノア、いくぞ」
「ん」
俺たちは敵の城の中へ急いだ。
* * *
―――紅花夜空
目を覚ます。頭が痛い。体がだるい。
……寒い。
「ここ……、どこ……」
ゴゴゴゴゴゴゴ……。
そんな音だけが聞こえてくる。
視界がはっきりしてくると、その音の正体がわかる。
「なに……。これ……」
それは太陽にも似た、巨大な眩しい何かだった……。




