久しぶりのフラウロウ
久々にフラウロウに戻ってきた。
「かなり活気が戻ってきたみたいだな」
ここを離れた時には魔獣とトリカによる大量殺戮のあとだった。あの時はみんな沈んでたからな。
「もう一年以上も経っているからね」
愛歌が言った。
大樹に入って手紙にあった指定の部屋に入った。
「おお、よくぞ戻ったのぅ」
エルリフィがそう迎えてくれた。
中にはエルリフィとミファ、そして見覚えのある近衛兵や付き人の人たち……、そしてもう一人見慣れない人物がいた。あー、知っている人物なんだけど
「ルト?」
あの盲目のエルフ、ルトがいたのだ。
「お久しぶりです。白さん」
「なぜその者がいるのかについては、今回の本題故、長くなる」
なるほど? あとで説明ってことか。
「……しかしどうした? そちらは一人足らんようじゃが……」
「あー、それは本題だから、ちょっと長くなるかな」
「ふふ、そうか。であれば早く始めるとしようか。座ってくれ」
ラウンドテーブルにそれぞれ座った。それをみてエルリフィが話し始める。
「デモル京の話、妾も聞いたぞ。残念じゃ。とくにセオリのことはな。よき友じゃった。この世界に帰ってきてから一度くらいは顔を出して送んじゃったな」
エルリフィがしみじみといった。
「なんであれ、苦労を掛けたな」
「いや、こっちもすまないな。結局全部の石取られちまった」
「それについては妾も謝罪すべきじゃろ。最初の一個は妾が渡してしまったのじゃから。それにそれですべてが終わったというわけでもあるまい。対策のためにこうして集まっているのじゃからな」
それはそうか。
「さて、そこの者、ルトについてじゃが」
「お、やっと本題ね」
「うむ。3人は面識があると聞いているが」
俺、愛歌、ノアを見ながらそう言った。
「一応ね」
「ではこのことは知っておったか? ルトはもと、魔王軍の暗殺者だった」
「いや、初耳だけど……」
別段驚くほどのことでもないな。ただの冒険者にしては強かったし、そうであったなら納得だ。
「そこでな。元魔王軍の城を調べてもらってきたのだ」
「きた?」
既に終えてるってこと?
「新婚だったのにすまないな……」
「いえ、里帰りみたいなものですから。最悪の故郷ですけど」
ルトによると、そこは100年まえとは違った姿だったという。
もと魔王の居城を使ってはいるが、開拓されそして、正義の弾丸軍の基地となっていた。
「なるほど……、じゃあ、夜空もそこに……」
「ん、なに? あやつは敵に連れ去られたということか?」
「ああ、そうだ。帰りの海洋列車で襲われたよ」
襲撃事件について話した。
「そうか。それは心配だな。そもそもお前たちがこの世界にいられる時間もそう長くはないのであろう?」
「あーえっと、あとどれくらいだ?」
愛歌に訊く。
「あと86日とかだったはず」
「だそうだ」
3ヶ月ないくらいか……。多いんだか少ないんだか。
「そうか。ことは一刻を争う。早急に敵の本拠地を襲撃するとしよう」
それから俺たちは準備に取り掛かった。




