白 VS 夜空(2)
―――紅花夜空
(流石、白はすごいな……)
剣を投げてきたと思ったら、自身の体の陰に隠れたとこに手をやったとこであとの2本を取り出し攻撃してくる。
それをなんとか受け流したと思ったら水闘気力を叩き込まれ、強制的に距離を離された。
(はあーー、そんな戦い方もあるのか)
と一挙手一投足が勉強になる。
さてとどうしたもんかな。私はその剣術の性質上、近距離で戦うほうが得意だ。だけど白はそれを嫌がるため、近距離と中距離の間くらいを維持しようとしてくる。
完全に距離があるか、近いか。私が得意なのはそんな極端な間合いだ。逆に白が維持しようとするその距離感はあまり得意じゃない。故に水闘気力で白自身を動かすか、私をとばして引き離すか、で距離を取ろうとしてくる。じゃあそれができないようにしないとね。
はあ、仕方ない。ちょっと疲れるからこういうのはしたくないんだけど。
「多重起動。透過確定」
白の周囲に地雷の魔術を設置し、視覚だけでなくその他感覚全てから感知できないよう透過する。さらには、私自身の行動では誘爆しないようプログラムを組み込む。
そして近くの石を霊術で浮かして爆発させる。これで使った魔術がどんなものか白も理解したはずだ。
その爆発の煙の中から白を強襲する。しかし白には悠々と受け止めた。
「本当に厄介だな」
「どうも」
本当に思っているのかはわからないけど、ま、御礼は言っておこう。
鍔迫り合い状態から離れてまた攻撃を仕掛けた。
その隙に白は剣一本をまた自分の体の陰でしまっていた。なんでだろうと思ったんだけど、その後の攻撃が綺麗に躱され受け流される。代わりに攻撃をしてこない。完全に防御に集中しはじめたみたいだ。
(さて、どうやって崩そうかな)
しばらく超近距離での戦闘を続けたのだが、全て綺麗に躱される。すごいな。
すぐに座標を使ってかなり距離を取った。そこから魔力と気力で作り出した斬撃をとばす。
(白は長距離での戦闘は苦手のはずだ。いや、できたとしても……)
案の定白は、弓を取り出し矢を数発射出した。
矢が到達する前に自身の前に座標の歪みを作り出す。
「は?」
その歪みに矢が当たると、白の近くに矢が現れそれが白の足元に着弾し爆発する。
うっわー。あの威力の矢が何の対策も無しに当たってたら危なかったな。しかし白はどうやったのか耐えきっている。
「ち、くっそ。これは嫌だったけど」
白が強く地面を足で踏みつけると水闘気力の衝撃波がドーム状に広がった。
「うそ……」
白の周りにあった地雷魔術が吹き飛んで消えてしまった。
すぐに白が水闘気力をつかった超スピードで距離を詰めてきた。今度は自分が主導権を握るつもりみたいだ。
矢にやったように空間の座標を歪め、白が進む方向を捻じ曲げ、少し別の場所に転移した。
「……っ、なるほど」
呟いた白はその後、なぜか愚直に私に突っ込んでくることを繰り返した。
その真意を探ろうと一度座標の歪ませをやめようとした時だった。最後に白がトンだ場所がちょうど、先ほど白が投げた剣の落ちていた位置だった。
(そういうことかー!)
私は感心しつつヤバいと思った。




