白 VS 夜空(1)
「そうだ。負けた方が今日の夕飯担当ってことにしようよ」
「別にいいけど」
白に提案しそれに乗ってきた。
さすがに7人が満足する分作るのは大変だぞ
「殺し以外、なんでもあり、でどう?」
人のいない平原に行き白に提案する。
「愛歌は?」
あー、そうか。愛歌って一応扱い的には白の能力の一部なんだっけ。
「好きにすれば」
「あっそ。んじゃ、愛歌出てってくれ」
白は悩まずそう言った。
「ま、そうよね。私はどっちかだけに味方するつもりはないし」
愛歌は言ってから、しずくちゃんたちが見ている方に飛んで行った。
「弟子もノアちゃんもいる前じゃ、下手な負け方できないよね」
「へえ、勝つ気でいるのか。それだけで十分修行の成果あったって言えるんじゃないのか?」
「……うっさい。さっさと構えてよ」
セオリさんからもらった刀を抜き、構えながら言った。
「はいはい」
白が2本剣をだしてきた。本気だな。
* * *
夜空に急かされて、剣を二本手に取る。
「……こないの?」
夜空に聞かれる。
「吹っ掛けてきたのはそっちだろ。そっちから来たらいいんじゃないか?」
「確かに。じゃ、遠慮なく」
夜空が"座標"を使って俺の目の前に転移する。
「っ!」
左手の逆手で持った剣で受け止める。
すぐに右手で攻撃に転じる。しかし。
ガッ!
すでに近接戦だというのに、さらに夜空が体を寄せてきてむりやり体勢を崩される。
そしてそのまま刀で薙ぎ払うように横切りしてきた。
かがんでギリギリのところでよけつつ横にステップし、反撃しようとした。
しかし、その時には既に夜空は頭上に刀を構えており、地面をたたき斬るように振り下ろしてきていた。
俺は水闘気力を使ってまたもギリギリのところで後方上空まで跳び上がっていた。
(めちゃくちゃだ。どういう刀の動きしてるんだ?!)
手の2本の剣をなげる。しかしその時にはすでに夜空は消えていて……。
「ちぃ」
気づけば後ろの"座標"に回り込んでいた。
すぐにもう2本の剣を取り出す。その後飛んでくる攻撃を受け流し反撃。
しかし逆に受け流され攻撃されそうになった。夜空に水闘気力を叩き込み、後方へ吹き飛ばした。
(巧すぎだろ。この半年でどれだけ腕上げたんだ)
単純な剣術の腕ならしずくも超えるぞ。
今気づいたが、今までの夜空は無意識に俺の剣を真似してたんだろうな。もともと才能はあったところに自分に合う型を見つけた。それだけでここまでなるものか。
とにかく単純な打ち合いじゃあ、俺は勝てない。かといって……。
「多重起動。透過確定」
離れた位置で夜空が魔術を行使すると、自身の周囲に魔術の気配を感じたのだが、それ以外は何も感じず、何も見えない。
……そう、魔術の巧さでも夜空の方が上だ。この様子じゃ、そっちも相当に鍛えているらしい。魔術で遠距離からどうこうできる相手じゃあない。
夜空が近くにあった石を浮かせてこちらに放ってくる。すると目の前の空間で爆発が起こった。
「ち、なるほど」
周囲の空間に刺激を与えれば爆発を引き起こす魔術を設置。それを見えなくしてしまえば、場所をわかっているのは夜空本人だけ。こっちは身動きが下手に取れない。
爆風の中から夜空が出てくる。振り下ろされる刀を受け止めた。
「本当に厄介だな」
「どうも」
心から思ってるんだけど、信用してもらえてないかな。
そう思いながら一本剣を仕舞い凪の構えを取った。




