夜空 VS トリカ(3)
「きゃはははは! 本当に面白い攻撃してくれるじゃん! 期待以上だよ! 本当に!」
トリカは全身血だらけぼっろぼろだ。傍からみれば私の方が優勢だというだろう。
だってのに、なぜ精神的にはこっちが負けている。
「さてと、でもそろそろ飽きてきちゃったから、もうやっちゃおうかな」
「あ、」
高出力のエネルギーがトリカの右手の中にたまっていくのを感じた。
まずい、あれって白から聞いていた……。
「復讐!」
そしてそのエネルギーがトリカから飛んできた。
「確定!」
私は闘気力を使って自分の体にある状態を確定させる。
そしてすぐそのエネルギーが私の体に直撃した。
「……」
「へえ……、すごいじゃん! どうやったの?! 私の"復讐"を無傷で耐えきるなんて……」
「無傷……? 闘気力をほとんど持っていかれたんだけど……」
確定のもう一つの力。状態や法則を捻じ曲げ自身の望む形に確定するという能力。それで私はあの高出力エネルギーによる攻撃を耐えられる、という状態を確定によって自身に付与したのだ。
しかしそれも困難なものであればあるほどに、闘気力の消費が増えていく。
今回の攻撃に耐えられるかどうかも、どうなるかわからない。けれど、今できる最大の防御はこれくらいしかない。
今回は気力のほぼすべてを消費してしまった。つまり、生身で受けていたら魔術や気力で最大限の防護を施したうえでも死にかけていた可能性があるってことだ。
……そのうえ、さっきまでトリカに与えていたダメージ全てが回復している。もう……、どういう冗談だよ……。
「おっと……」
そのあまりの化け物ぶりに困惑していたら、トリカの頭上から剣が降ってきて、トリカがそれを避けた。白の剣だ。
「きゃは。気づけば魔霧が消えてんじゃん。撃鉄は死んじゃったんだ」
トリカがいった。確かに消えているな……。あいつがブレストリガーだったんだ。
「ああ、そうだよ。よくまあ、あんな雑魚にトリガーを任せてたもんだ」
「もしかして私、グリンあたりに怒られちゃうのかな。でもその事については同感。あの無能を片付けてくれたことはちょっと感謝しちゃうかも。きゃは!」
仮にも仲間にこの言いぐさ。やっぱこいつ好きになれないや。
「とにかく、2人を相手するのは流石に面倒くさいから、私はここまでかな。もう十分時間は稼いだし、これで仕事を終わらせられてなかったら、グリンが悪いよね。んじゃ、またね!」
トリカがゆらっと消えていなくなってしまった。
「ほんと。イライラするオンナ」
私はつい呟いた。




