夜空 VS トリカ(1)
カンっ! カンっ!
トリカの攻撃をよけ続ける。怒涛の猛攻だ。
(強い……!)
きっと修行前の私だったら10秒と持たなかっただろう。
攻撃を受け流し、反撃に転じる。
「あっ、痛い! きゃは!」
トリカは嬌声を挙げながらさらに攻撃してくる。気持ち悪い。
だけどそのせいでダメージになっているように感じられない。さっきは指を折ったし、今は頭から血ぃ流してるってのに余裕の表情だ。
(あいつにはあまりダメージを与えない方がいい。ぶった斬れるときに一気に片付けないとこっちがふりになる)
白からここに来る途中で聞いていた話。もしトリカと戦闘になったらってね。あいつは自身が受けたダメージを蓄積して、それを純粋な破壊のエネルギーへと転換できるらしい。だからダメージを受けようがどうしようがお構いなしって感じで捨て身の攻撃を続けられる。
そしてただ愚直なだけの攻撃ならいいんだけど、この感じで戦い方が巧い。それにイメージよりも堅実な戦闘をしている。
「きゃはは! すごいじゃん! 聞いてたよりもずーっと強いよ! 期待以上だったから、そのギャップでイけちゃいそう! んんッ!」
身を震わせ恍惚とした表情を浮かべながら、自身の血を舐めている。本当に、気色が悪い。
(……やっかいだなぁ、もう!)
私の魂源:確定により使える能力の一つに「結果確定」がある。
簡単に言うと行動に伴う結果だけを闘気力の消費で確定させる力だ。もっと簡単に言うと、行動のために必要な労力と時間をスキップして結果だけを手に入れるってことだね。算数ドリルを解かずに答え丸写ししてるみたいな……。いや、この例はわかりにくいか?
例えば、手の届かない位置にあるスマホを手に取って今座っている場所まで戻ってくるという行動の結果だけを享受できるといった具合。その行動のスキップの代償に闘気力を消費している。
今の例やさっき倒したジーテのように格下の相手を傷つける、あるいは殺す、といったように、容易な行動は、さほど闘気力を消費せずに行える。
しかし「警備が厳重な場所に侵入し何かを盗む」、「月に行って石を取ってくる」というように、人工的、もしくは自然的な壁や、「言語を50習得する」、「マラソンで世界一周」みたいに理論的には可能でも果てしない時間がかかるなど困難なものであればあるほどに必要とする闘気力の量が増えていく。持っている闘気力では足らない場合は、実行不可能となりそもそも発動ができない。
そしてトリカへ傷をつける、という行為はかなり大量に闘気力を消費する。故に割に合わず、その力が封じられてしまっている。
本当に、厄介だ。




