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赤い祭事変(5)

―――言葉しずく


 夜空はしずくから敵の方に向き直る。


「で? あんたなに?」


 そしてそう聞いた。


「俺は服神官……、ジンマ教団の大神官補佐ジーテだ」

「ジンマ教団……、なんだっけそれ。まあ、いいや。要は害虫ってことでしょ?」


 夜空が言いながら構える。


「そうだ戦う前に聞いておきたいのだが、先に降参しておくつもりはないか」

「はぁ?」

「前に大神官が死んでな。次に大神官になるのは他でもない俺だろう。お前体は悪くない。愛人にならないか?」


 そういった瞬間、ぐしゃあ、というような嫌な音が鳴った。


「あ、ああああ!」


 ジーテが叫び声をあげる。みると、左足首が斬り取られその断面から血が流れ出てきている。


「ごめん。私、そういう下卑た目が嫌いなんだよね」


 夜空は冷たく言い放つ。


「え……」


 しずくは困惑する。

 今の言葉からやったのは夜空なのだろうが、この離れた位置から一歩も動いた気配がなかった。

 にもかかわらずさっきまでなかった血液が、その手にある刀に付着している。


「貴様……、いったいどうやって……」


 ジーテは痛みに悶えながら訊いた。


「さあ、どうやってかな。でもあんたの状態を()()させるのは簡単だったよ」


 そう言いながら夜空は歩いていく。


「確定させる……?」


 どういうことだ……? としずくは疑問に思う。

 しずくは常にこの人と相対した時自分はどれくらいの確率で勝てるだろうか? と考えてしまう癖がある。

 白やノア相手なら、自分に都合のいい条件を重ねに重ねた状態であれば数パーセントは勝てる可能性があるだろう、と踏んでいる。

 しかし今の夜空の技を見せつけられると、勝てる可能性が見いだせない。何をされたかわからないまま、ズタズタにされてしまうのではないかという恐怖感すらある。


「ほっ!」


 ジーテに完全に近づいた夜空は頭の上から刀を振り下ろす。ジーテはその攻撃を受け止めた。


「はん。大怪我している相手に攻撃を受け止められるとは。近接戦は苦手なのか?」


 ジーテが煽る。


(いや……、違う)


 しずくは心の中で思う。


(意図はわからないけど、今のは受け止めさせるために、わざと遅めに軽く振った……)


 それに気づけないジーテに勝ち目はない、と。

 そして。


「ふっ!」

「え?」


 夜空が入れるとジーテの刀が折れ、そのままジーテを真っ二つに切り裂いてしまった。


「さーてと、いっちょあがり……」


 夜空は言いながら、チン、と納刀する。


(ししょーが速さと動き重視とするなら、この人は力と技の融合といったような……)


 もう少し技を見てみたかった、と少し残念に思った。

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