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葉染占い(1)

「あれ……、お兄ちゃん。あれやってみたい」


 人ごみの中を歩いているときにエミがそういった。

 指さした出店には人があまりいないようだった。


「あれ、エルフだな」


 フラエル皇国からも店を出しにきているのがいるらしい。

 どうやら占いか何かの店らしい。女の子はそういうの好きだな。


「せっかくエミ殿がやりたいと言ってくれたものでござる! 拙者もお供するでござるよ!」


 しずくにどうするか聞いたところそんな返事が返ってきたので寄ってみることにした。


「あら、白様ではございませんか?」


 出店に近づくと、店主の女性にそういわれた。


「? 俺のこと知ってんのか?」

「ええ。私はフラウロウから来ましたから。知っていて当然でしょう?」


 まあ、冒険者としては割と名を挙げている方ではあったか。


「ししょーは有名人なのでござるな」

「お兄ちゃん、すごい……」


 二人にまで褒められて悪い気はしなかった。


「にしても驚いたな。エルフがこんなとこにまできて商売するなんて」

「あはは。私はエルフの父の血が強いですが、一応ハーフエルフですから。普通のエルフよりはフットワークは軽い方ですよ」


 なるほどなぁ。


「で、何の店なんだ?」

「葉染占いです」

「なんだそりゃ」

「こちらに特殊な加工をした木の葉があります」


 確かにわきに葉が盛られていた。


「まず知りたいことを強く意識しながら、好きなものを一枚取っていただきます。それをこの専用の染料に10秒漬けていただいて、どんな風に染まるかをみて、そこから私が大樹からのお告げを読み解くのです」

「これまたすっごい古臭いタイプの占いだな」

「あはは。まあ本当に古くから伝わる占いですからね。あまり、深く信じすぎない方がいいですよ」


 店主は笑い飛ばしながら言った。


「占い師本人がそんなこと言っちゃっていいのか」

「私は観光のためにここに来ましたから。その多少の資金になればと小遣い稼ぎをしているだけですよ。ほぼコスト0でやれることですから、もうからなくたって別にかまわないのです。旅費は一応ありますから死にゃしませんよ」


 なんていうか、包み隠さない人だなぁ……。


「で? 話聞いてやってみるか?」

「うん!」

「せっかく異国の文化に触れる機会でござるからな! ぜひともお願いしたいでござるよ」

「じゃあ3人で、480フルになりまーす」



 ぶふぉっ?!


 値段を聞いて吹き出してしまった。


「はあ? 高すぎんだろ?!」


 大体1フルが12.5円と考えてくれていい。

 つまり、1人2000円。合計6000円だ。


「高すぎだろ?!」


 日本の祭りなら、焼きそば一人3、4パックくらい変えるぞ。


「あはは、ただえさえお客さんすくないんだからぼれるときに取ってかないとね」

「せめて書いとけよ」


 景品表示法違反だろ……。

 はあ、この国にはねぇのかな。

 俺はしかたなく金を払った。

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