しずく VSノア
ぶおぅん!
ノアが剣を振るう。しずくがそれを体を逸らしてよける。そのまま回転し、薙ぎ払うように刀を振るった。
しかしなんでもないかのように避けられ、更に蹴りが飛んでくる。
しずくは刀でそれを受け止める。
そのご10発ほど連続で繰り出される攻撃を全て、後退しつつギリギリのところで受け続けた。
反撃にしずくが振るった刀をノアは軽くかがんでよけ、逆に反撃。
しずくは地面に倒れこみながらさらに反撃し、ノアの体を蹴り上げた。
上空のノアめがけて刀を投げて追撃する。
ノアはそれを空中ではじいて少し離れた地面に着地した。しずくは刀を回収しつつ、ノアが着地する瞬間を狙って斬りかかる。
二人ともその場から引かず、近接での攻撃の応酬を繰り返す。30秒ほどそれが続いたとき、しずくが力負けし、体制を崩した。
そこをめがけてノアから剣を振り下ろされる。しずくはそれを刀で受け止め、鍔迫り合いになる。
「ぐぐぐ……」
しずくは力では勝てないと判断し、その状態のままノアの足を払おうと試みる。が、それに気づいたノアが武器が重なっている場所を起点に、ノアが反対側に向かって飛ぶ。
すぐに振り返りノアが着地する前に両刀を平行にし、ノアに攻撃した。
しかしノアはそれを宙で受け流し綺麗に着地。
「えええ?! うそぉ!」
そのまま隙のできた足を払ってしずくを転ばせる。
そして剣の切っ先をしずくの喉元に突き付けた。
「私の勝ち」
少々自慢げににノアが告げた。
「ううう。また勝てなかったでござる……」
そうして手合わせが終了した。
白とばかり試合をしていても意味がないということで、実戦形式の修行はノアとするように最近はしている。
「私に勝とうと思っていたの? 剣だけで?」
「もちろん。武士はいつだって全力でござるよ」
「……。まだ100年早いよ」
「それは、長生きせんといかんでござるな」
しずくはノアが差し出した手を握って起き上がる。
「とはいえ、白よりもよっぽど筋はいい」
「ええ、そうでござるか? ししょーにだってまだ勝てたことはないのでござるよ?」
「あとは足りないのは経験。それは時間が解決するもの。あなたは目標に向かって頑張っていればいい」
「うう……。ししょーたちがいなくなってしまう前に、弟子として少しくらい格好のつくところをお見せしたかったのでござるが……」
まあ一朝一夕でできることではないか、としずくはため息をつきつつ気合を入れる。
(いや、どっちも化け物だけどね、ボクからみたら)
と縁側でその様子を見守っていたアルノは思った。




