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違和感の正体

 セキヤミと茶屋で話した帰り、ふらっとその場所に寄った。……寄ろうと思った。

 しずくの刀を買った場所だ。


「閉まってる……?」


 真っ昼間だってのに、全く一切店が開いていなかった。

 それどころか……。


「いや違う。潰れてる?」


 看板も立っていなければ、中から人の気配もしなかった。


「あんた、こんなとこで何してんだ?」


 知らないおばあさんに話しかけられた。


「こんなとこって別に街中だろ」

「そうだけど、何もない店の前でずっと立ってたら不審にも思うだろう」


 一理ある。


「ここにあった武器屋、潰れたのか?」

「潰れたというか……、続けられなくなったというのが正解だろうね。店の主人が殺されたから」

「は? え、いつ?」

「たしか……」


 聞いた日にちは、しずくの刀を買ってすぐの頃だった。


「ああ、あまり大事にしないよう、政府が介入した事件だったらしいから、知らなくて当然だけどね」

「……」


 驚いていた俺におばあさんがそういった。

 しずくには黙っておくべきか……?


「で、なんで政府が介入を?」

「さあ、そこまでは知らんよ。でも確かまだ、犯人は捕まってないって話だったよ」

「は?」


 ヤバいじゃん。政府は何考えて……。

 いや、介入したって……。


「その介入したのって政府全体か? それとも役人か?」

「めんこい官僚さんだったよ。若いのに官僚だなんてすごいなって思ったのを覚えているから」


 ……ナミネか……。

 もう一つの人格からこの事件をもみ消せって指示されたとか……、そんなとこだろう。

 はぁ……、この町で生きて行くためとはいえ、擁護しきれないことは一応やっちゃってはいるんだよなあいつも。


「そっか、ありがとう」

「ああ。じゃあね」


 おばあさんと別れる。


「愛歌?」

『? 急にどうしたの?』


 愛歌と念話で話す。

 少々動揺している思念なのも伝わってしまっているかもしれない。


「ナミネが殺した人物リスト、から次の名前を探して欲しいんだが……」


 店主の名前を愛歌に伝えた。


『ええ、いるわよ……。あら、でもこの人、お年寄りじゃない……。なんでこんな人が交っているのかしら』

「さあな今から行って聞いてくるよ」


 ナミネの家にはさっき茶屋で話した内容をナミネに伝えているセキヤミがいた。

 せっかくなら自分でエミの状態を話せばよかったな、と思いつつ、事件の事について聞いた。


「……確かに、もう一つの人格がその人を殺しています。しかし理由は他に対して異なり、大神官からの指示だったようです」


 ナミネが教えてくれる。

 なんで、そんな人をわざわざ……。


「それは私にも……。大神官を殺してしまった今、その理由はもう聞けませんね」


 そんな会話を考えていた時ふと、気づく。


「そうだ。なんで気づかなかったんだ」


 ずっと感じていた違和感の正体。それにこんな時に思い当たるとは……。


「どうしたのです?」

「魔霧だよ。今もこの国全体を覆ってるだろ?」

「はい、そうですね……。早く消えて欲しいのですが……」

「そう。消えてないとおかしいんだ……」

「え?」


 あれはもし、フラウロウの時と同じシステムなのなら、ブレストリガーとなる人物を殺すか、もしくはそいつが意図的に止めるかをしないといけない。

 逆にそうしていればすでになくなっているはずだ。

 しかしまだあの気持ちの悪い霧はシンノミヤ国全体を覆っている。デモル京から一歩出ればその影響下に入る。

 なんか長いことこの国にいるから慣れてきてしまっていたが、そもそもまだある方が異常。

 ブレストリガーとして力が足りていたような人物は、今のところ大神官とナミネ、ハンマーの3人だろう。


「私ではありませんよ? なのだとしたらとっくに止めていますわ」


 そう。なのに、まだあれはある。

 だとするとあと一人に絞られるが……。


「ってことはあいつ。まだこの国にいるのか」


 ハンマーは正義の弾丸軍であるようだったから、もしもう諦めたり用が済んでいるなら、この国から撤退していると思う。

 この国ではまだ、あいつらが何かを企んでいる可能性は高い。

 はぁ……、フラウロウに帰るか、ここに残り続けるか……、いったいどうしたらいいのやら。

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