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ナミネVS大神官(2)

 ドパラダダダダダダッ!


 ナミネが物陰からマシンガンを撃つ。

 弾も本体もすべて描いて出したものだ。

 すべての弾もすべて霧散させてしまう。

 その霧散したインクで遮断された後ろから、新たに作り出した拳銃の引き金を引いた。


「くっ」


 弾が大神官の腕を掠める。


「やるじゃないか。昔は生き物を作り出すだけだったのが、まさか武器までつくれるようになっているとは」

「私だって、ただのんびりと都で過ごしていただけではありませんもの」


 その声のする方へ、大神官が衝撃波を放つ。

 しかしナミネはそれを絵で作り出していた盾で防いだ。盾はまた霧散する。

 その隙にナミネは次の武器を作り出そうとする。


「遅い!」


 が、衝撃波をさらに繰り出され、それに押されてナミネの体が吹き飛ぶ。


「くはっ!」


 追って攻撃が来ることに気づいたナミネだが、防ぐすべがなく食らってしまう。

 ナミネの能力は応用の利く優れたものだが、"描く"という作業が入るため、どうしても大きな隙が生まれてしまうのだ。

 故に生み出したものが消されるときそれが霧散するように作り、隠れ蓑にしているのだがそれに慣れられてしまうとどうしても不利になってしまうのだ。


「無様な姿だな」


 戦いの衝撃で、ナミネはかなりボロボロになっている。


「それは心から同意いたします。まったく、一張羅だったというのに」


 ナミネは上着代わりだった着物を脱ぎ捨てた。


「まだやるのか」

「いったでしょう。あなたに下るくらいならば死んだ方がマシだと」


 またも衝撃波を放たれる。


「く……、足が……」


 避けようとするが、目に見えない攻撃では、範囲もわからず足に直撃してしまった。


「これで詰みでしょう。ナミネ、あなたの美しいその体を食らいつくすその時が楽しみだ」

「そうですか。ここの集団は本当に、どいつもこいつもいいご趣味をしていらっしゃいます」


 ナミネはにやっと笑いながら何かを取り出した。


「さて、その前に。大神官様、こちら、何だと思います?」

「なんだ? それは。お前の描いた……、スイッチ?」

「あたりです。さて、これはどこにつながっているでしょうか?」


 ナミネがわざとらしく、大祭壇を盗み見た。


「?! やめ」

「遅いです」


 ドォーン!!


 大祭壇が爆発する。そこにあったジンマの御神体とされる巨大な宝玉も同時に割れて散り散りになった。

 ただ描けたとしても、その回路や遠隔操作の技術は正確にしっかりとイメージできていなければ機能しない。これは勤勉なナミネの勝ちといえるだろう。


「ああああああ! 祭壇が! 神代よりつづく神聖なる祭壇が!」


 大神官はさっきの余裕はどこへやら、ナミネも笑ってしまうほどに焦っている。


「お困りのところ悪いのですが」

「グアッ!」


 その隙に書いていた獅子に大神官の腕を噛みちぎらせた。


「これで、衝撃波は出せない」

「き、貴様! があああ!?」


 困惑、恐怖、怒り、それを感じる間もなく大神官はまた獅子に噛みつかれ、その激痛に悶える。


「食らいつくしなさい。それがその男にはお似合いでしょう」

「くっそぉ! くっそおおお!」


 その長い生涯で数多の同胞を食らってきたその男は、ただの絵に体を食らいつくされてしまったのだった。

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