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暗がりの中の戦い(1)

 それは新月。その暗い夜、契約の石が納められている祠に、”そいつ”が近づいていた。


「これがあの夜叉鬼(おんな)が敷いた結界か。そう、この国の人間に仇なそうと考えているものを焼き殺すもの」


 そいつはまたも独り言でそう言う。

 その入り口には魔力の膜のようなものが形成されていて、


「確かに俺なら殺されるかもな。だが、お前は違うだろ? わからないよ。確かに私はあんたらジンマ教団を嫌っているし、この国の味方でありたいと思っている。でもあんたがいるせいで私まで敵であると認定されてしまう可能性は高いんだってば」


 一人で話したり怒ったり、傍から見れば変な様子の人がいると思われてしまうだろう。


「いいから早く。お前が体を動かして、中に入ってみろよ。ちょっと待ってよ! 覚悟ってものがあんの! ふう……。いくよ」


 そういってそいつは膜を通り抜けた。

 

「ほらいけたじゃねえか。ちょっとあまり出てこないでよ。入り口のトラップの通過はできたよ? でもまだ結界内なんだからあまり出てこないで! はあ、神経質だなあ。わかったよ。早く頼むぜ。いわれなくたって……」


 その真っ暗なほら穴の奥へ歩みを進めていく。

 少しすると広めの空間に出た。奥に設置された祭壇に目的のものが置かれている。契約の石だ。

 そいつは最大限に警戒しながら歩みを進める。その目の前まで来たとき、それに布切れがかぶせられていることがわかった。


「あれ、前に来た時、こんなのかかってたかな」


 そいつはそういいながらそれをどけた。


「いや、これだ! あった!」


 そういって契約の石に手を伸ばしたその時。


「?!」


 どこかからか鎖が伸びてきてそいつの手首に巻き付いた。

 そのまま伸びてきた方向にぐいと引っ張らる。そしてその先にいた人物に殴られ反対の壁に体を叩きつけられた。


「ゲホっ、ゲホっ。な、なんだ?!」


 内臓が揺らされたような嘔吐感に堪え攻撃をされた方向を見る。


「いつかの騒動の日以来だね」

「?!」


 そいつにノアが声をかけた。白の命令(たのみ)でこの数十日その石を見張っていたのだ。


「俺に気配も悟らせなかった……?!」

「あなたを捕らえて、白の所に連れていく」


 鎖鎌を仕舞いながらそいつに迫っていく。


「安心して。殺すなと言われている。情報を引き出すために。でも」

「?!」


 急激に近づいてきたノアがそいつの首を掴んで持ち上げる。


「苦しめるな、傷つけるな、とは言われていない。さっさと投降したほうが身のためだよ」


 ダンっ!


 そしてそのまま地面に体を投げて叩きつる。バウンドしたところに回し蹴りを叩き込み吹き飛ばした。


「ああ、う”……」


 ふん……、しぶとい。

 ノアは剣を抜きながらそいつに近づいていった。

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