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エミの行方

「しずく、いたか?」

「いえ、こちらにも。考えうる場所には全部足を運んだのでござるが……」


 エミと一番仲の良かったしずくでも見つからない……。いよいよ完全に夜の帳も完全に降りようかという時間だ。まずいかもな。


 簡単に話すとこう。

 エミの通っている寺子屋は、今日は午前で終わる予定の日だった。つまり遅くても昼過ぎには帰ってくるのだろうと女将さんは思っていたという。しかしそこまでに帰ってこなかった。

 とはいえそれまでも、そういった日はあった。友達と遊んで帰ってくるとか。今日もそういう日なのかなとあまり深くは受け止めていなかったらしい。

 でもその時点で引っかかっていたことはあるそう。そういった日はエミはあらかじめ決めていて遅くとも朝には女将さんに伝えていたのだという。だから何も言わずにこうして帰ってこなかった日はなかった。

 とはいえ子どもなのだし、友達と話がはずんでいるうちにその事を忘れて遊びに行ってしまっていた、なんてこともあるだろう。エミもこの国における成人一歩手前なのだし、叱ることもない。せめて一報は入れてくれ、と帰ってきてから頼めばいいだけだ、と軽く考えていたという。

 そして今、もう日も暮れようかという頃のこと。流石に少し心配になって寺子屋に連絡をしてみたという。

 もちろん、学校ではエミは既に帰っていた。しかしそこでわかった事実。帰る前、エミは担任の先生の手伝いをして帰ったそうだ。他の生徒が帰りきってしまうまで学校に残っていた……、つまり一人で帰っていたという事だ。

 もし流れで帰りに遊んでいたのだとしたら、一緒に下校している可能性が高い。もちろん帰りに誰かと出逢った、という可能性もゼロではないだろう。しかしそんな時に女将さんに連絡をいれよう、という思考に至らないほど、エミは落ち着きのない子でもない。

 そこまで至ってようやく、世間を騒がせている子どもの失踪事件を思い出した。血の気が引き、急ぎ俺たちに助けを求めてきたというわけらしい。

 

「これだけ探して見つからないとなると……」


 考慮しなくてはならないな。"その"可能性を……。


「いや、まだだ。まだ、どこかに痕跡を見つけられるかもしれない。もう一度、徹底的に探そう。しずく、そっちは頼んだ」

「承知いたした」


 しかし探せど探せどエミは、その痕跡すらも見つけられなかった……。

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