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山の上で

 ―――一方、山で修行を続ける2人……。


「やっぱり、魔界に帰りたいんですか、セオリさんも」

「? 急にどうしたのです?」


 その日の昼食を終えて、のんびりと休憩しながらセオリさんに訊いた。


「いや……、その……。何となく。みんなどこかに帰りたがるなぁって……、思って……」

「また、夢ですか?」

「うん……」


 最近でははっきりとわかるようになってきた。私の魂源による……、副産物というべきか、副作用というべきか……、そんなモノ。

 夢で気づくと過去、もしくは別の世界線の未来の自分にアクセスしてしまう事がある。

 完全に自分の意識で動いていると錯覚するほどリンクときと、テレビを見ているような形で見ている程度の時と接続度合いはその時々なんだけど……。

 まあ、寝てるのに疲れるから大変でね。それを制御するためにも魂源の修行もしてる。


「昔の夢を見て……、両親の夢。それはまあ抜け出してきたんだけど」


 修行の効果もあってか、リンクが浅い時はすぐに帰ってこれるようになった。


「それで、その両親のもとに帰りたいと思ったわけですか?」

「え? いやいや。お父さんはもう死んでるし、母は……、あの人とはもう縁を切ってるから。私にいまさら帰りたい場所なんて特にないんだけど」

 

 あの人の血が自分の中に流れてる、それ思い出しただけでも気持ちが悪い……。

 まあそんなことはどうでもよくって。


「でも私にはないけど……、その幼い頃のこと思い出したら、白のこと思い出してさ。あいつは、前に行った世界に帰って、とある人と再会する。それが生きる目的そのもにになってるって言ってた。……セオリさんとかもそうなのかなって……」


 白のだって、ほとんど可能性のない望みだって愛歌は言ってたけどね。

 でも、私は白が好きだから。だからこそ、その夢は否定はできない……。


「セオリさんも魔界に帰りたいのかなって」

「そうですね……。まあ、その望みがないでもないですが……。それこそ、いまさら、というのが感想ですね」


 笑いながら言った。


「今の私の望みがあるとすれば、私の与えられる全てをあなたに注ぎ込むことでしょう」

「へ?」

「今までの人間の、骨にも似たような人間など、いつまでもいたって仕方がない。次世代に教えることを教え、託すべきものを託す。それこそが、きっと希望なのですから」

「あはは……」


 なんか重たいな……。


「ああでも……、うん、あの人がまだ生きているのなら、会えたらどれだけいいかとは思う」


 セオリさんが魔界に帰れない理由。人質に取られているというセオリさんの旦那さん。

 その人の事を思い出しているのだろう。


「だから、もしあなた方の誰かが魔界に行くことがあれば、彼に伝えてください。私は元気でやっていたと」

「……、まあチャンスがあったらね」


 そうして少し休憩した後、私はまた修行に戻った。



 

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