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白 VS トリカ(4)

「きゃっはは! やっぱすごいね! トリカの復讐(リベンジ)無事で受けきっちゃうなんてさ!」


 その技を放った本人トリカが、笑いながら言う。


「ああ……? はぁ……、はぁ……。無事? 目ん玉取れてんじゃあねえのか……?」


 トリカに至近距離で、とんでもないエネルギーの塊を押し付けられそうになった。

 瞬間急いでできうる最高出力で水闘気力を使ってそれを相殺しようとした。結果がこれだ。

 左腕損壊。そこから左肩、顔左半分の大ダメージ。あと一歩で致命傷だ。これを無事というなら医者も回復魔法も要らないだろう。愛歌は俺の体の修復を急いでいた。

 逆にどういうわけか、トリカに与えたダメージの半分ほどが一瞬にして治癒していた。


「そんなことない、凄いよ?! この技使ったなら必殺でなきゃいけないのに、それを耐えきっちゃうなんてさ! きゃはは!」

「そういう割にそっちは余裕そうだな……」

「当たり前じゃん! 今のあんたならもういつだって殺せちゃうんだもん」

「ちぃ」

「でも、つまんないなぁ。超人の血って案外普通なんだね」

「銀色の血液でも流れてると思ったか? ご生憎様。こっちだって元ァ人間なんだよ」


 こうなったら、ある程度回復させたところで、仕方がないが水闘気力を使って逃げるしかねぇな。この森を少し荒らすことにはなるが、あとで全力で獣人に謝るとしようか。

 そんな事を考えていた時だった。


 ゾッ……。


 と背中に悪寒が走る。すぐに剣を持って後ろを振り返った。


「ししょー! 危ない!」


 そこにはあの死神(グリン)がいて、俺に振るわれるはずだった鎌が、なぜかこの場にいたしずくの背を裂いていた。


「しずく!」


 右腕と上手く動かない左手を使ってなんとかその体を支え、2人から飛び退いた。


「お前、なんでここに……!」


 そう回復魔法をしずくにかけながら叱ろうと思ったが、死神の呪いにあてられたか気を失っていた。


「こりゃ、後で説教だな」


 無事帰れたらの話だが。


「キッヒヒヒヒ! 逃がしませんよ!」


 なんであいつまでここにだの。どうするだの考えている余裕はない。

 敵が2人になってしまった。なんとか逃げに徹しなくては。

 追撃に迫る死神に対抗すべく、右手でもう一度剣を握った。


 カンっ!


 しかし俺の目の前に来るずっと前の所で、金属音が鳴った。


「……どういうつもりですか? トリカ?」


 トリカが死神に鉈を振り下ろしたのだ。


「あいつはトリカが狩ってたんだけど。邪魔しないでよ」

「そんな事のために、創造主に刃を向けると……。キッヒヒヒ面白いですね」

「はーあ? そもそもあんたはトリカを改造しただけだし、マスターでもないし。主人が同じだから一緒にいるだけで、別に友達でもないし」

「そんな妄言で、あの超人を殺る機会をふいにするのですか? 魂源を明かしてしまったというのに?」

「どーだっていいもん。あいつならトリカに勝てっこないし」

「……まあいいでしょう。とりあえず、時間稼ぎは十分です。ここは退くとしましょう」


 そういって死神は消えていった。


「ごめんね。ムード壊れちゃったから、また今度戦闘()ろうね。きゃは! ばいばーい!」


 トリカも同じくどこかに消えていった。


「くっそ……、なんだったんだ」


 その後、しずくに応急処置をしてから獣人の里に預け、再度地下を調べた。

 しかしそこで何が行われようとしていたのか、それを調べる手がかりはすべて燃やされ、もぬけの殻になった後だった。


―――世利長愛歌せりながあいかの記憶領域ストレージ:【トリカ】―――

 主人公たちと敵対する組織『正義の弾丸軍』のメンバーの死神。フラウロウでの事件の頃に何度か戦闘になり、そのたびに逃げられている。

 死神は高い戦闘力と狡猾さに加え、"人"と武器を交えるなどの間接的な接触をするだけで、相手に微弱なウイルス(のろい)を与えることができる厄介な魔界の種族だ。

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