白 VS トリカ(3)
カン! タタッ! ザ! カン、カン!
左手に銃、右手に剣を持ちトリカと戦闘する。
宙に浮かせた剣と言霊魔術によるトリカの牽制は俺の中から愛歌に任せている。
「きゃっははは!」
トリカは嬉しそうに俺の攻撃を体で受けている。
「急に攻撃的になるじゃん! いいねいいね! もっと! もっと攻撃してよ! きゃっははははは! でもいいの? 逃げなくていいの?」
「うるせぇ!」
実際のところ逃げようとは思ってる。
しかしこいつに何もせず逃げたところですぐに追いつかれる。
水闘気を使えば逃げ切れるかもしれないが……。
『たぶん、森がめちゃくちゃになるわよ』
そう、早さを制御しきれないあれで森の中に逃げ込んだとこで、木々をめちゃくちゃに荒らしてしまう可能性がある。獣人族に殺される可能性がある故に、それは最終手段だ。
つまり、可能性があるならこいつを戦闘不能にした上でここから立ち去りたい。
とはいえ、敵地にあまり長くいるのもあまりよくはないな。
少し離れて魔法金属製のブーメランを投げる。
「あん! いったーい! さすが超人って感じ? きゃは! あなたここ何個目の世界何だっけ?」
「ああ? 二個目だよ!」
トリカが飛び上がって来た脇腹に鎖鎌の鎌を投げて突き刺し、鎖をぐいと引きバランスを崩し引き寄せる。
引き寄せたトリカの体の腹部を蹴こんだ。
吹っ飛んでいたトリカの体に愛歌が浮かせていた剣を突き刺すように投げる。
「流石だね! あのノアは超えられないけど、戦法が多彩で戦いなれている。もう6回は殺したって思たんだけどなぁ。きゃはは! あんっ」
「ちぃ! なんなんだお前!」
投げた針がふとももを損壊させる。
しかし、ひるむことなくトリカは向かってくる。
トリカは俺以上にボロボロ、というか死に体だ。肩には穴が開き片腕は引きちぎれる直前。右腹部と左脚は半壊。片目は潰した。だってのに、まだヘラヘラと笑い嬌声を挙げながら加減速をつけ動き回る。
はたから見ればどう考えても俺が勝っているように見えるはずなのに、なぜか俺が不利を押し付けられている。
振られた鉈を屈んで避け、トリカの足を払ってもう一度回転し、もう一度蹴る。
「いい加減、倒れやがれってんだ!」
飛んで行ったトリカを追いかけ、剣を振るおうとする。しかし。
「きゃは! そういうわけにはいかないよ。これを狙ってたんだからさ」
「?!」
「復讐」
俺は至近距離で物凄いエネルギーの塊を浴びせられる。




