白 VS トリカ
ダンっ! タン!
トリカは突如粉塵を挙げながら地面を蹴り壁を蹴り、弾丸のように飛んでいく。
ガンッ!
俺を避けてしずくに斬りかかった。すんでのところで間に割って入りトリカの鉈を、逆手に持った剣で受け止めた。
「しずく! 早く!」
「! は、はい!」
固まっていたしずくが部屋の中に入る。
「てめぇの相手は俺だ」
「きゃははは! そんな事トリカにはカンケイないし! 侵入者はあんたたちでしょ?」
「ちっ」
もう片方の手に剣を出し、トリカを斬りつける。
しかしトリカは少し間合いを取り避けられてしまう。
こいつはヤバい。わかりきっていたことを、改めて今のやり取りだけで感じとる。
「全力でやらねぇと死ぬなこれは」
「そうだよ? 全力でやってくれないと、トリカも困っちゃう。だって超人のオトコとヤるのなんて超久々だからさ! 結構楽しみなんだ。きゃは!」
久々……?
いや、いい。今は……。
「女神の栄光」
左手の剣を仕舞い、自身に全力の強化魔術を掛ける。
そのうえで体を半身……、いや、極限まで横にし、顔の高さで地面と水平に構える。
凪の構え。全ての攻撃を受け流す体勢に入る、防御特化の静の構え。
こいつに準備もなく、攻めで勝てるとは思っていない。
守りに徹して次に生かす、今はそれが正解だ。
「そっちからこないの? つまんない、なアッ!」
また予備動作もなく急に動き出し、鉈を振り下ろす。
それを受け流すが、すぐに地面を蹴りさらに攻撃される。その後四度の攻撃を受け流す。最後にわざと懐に入り込ませたとこで回転し、トリカの後頭部に回し蹴りを叩き込む。
地面に倒れこみ滑っていったかと思ったら、人とは思えない動きで飛び上がり反撃される。
今度は受け流しきれず受け止めた。
重っ……!
衝撃を殺しきれず、地面が砕けた。
トリカが地面に落ちる前に、その腹部を蹴り上げる。
それで飛んでいったトリカに剣を二本投げた。
『白! 今、さっきの梯子からここを脱出してる途中よ。もう少し待ってて』
『了解』
もちろん剣は弾かれる。それを回収しつつ、入り口の方に向かって距離を取る。
みんなが脱出し始めているなら、俺もさっさとこんなところおさらばしてしまおう。




