歪んだ愛情と正義のカタチ(7)
「はぁ!」
しずくは刀に気力を流し、敵の魔術を切り裂く。
しずくの魂源:洗浄。
白の消滅とは似て非なる魂源で、完全に消滅させるというより、魔力に付与された属性と術そのものを洗い落としているという感じ。
とはいえ、魔術に対して行使した結果、それが霧散するという結果はどちらも同じものになる。
しずくはまだ魂源を気力に付与させた闘気力は発現できていないが、剣に纏わせた気力にのみ限定で闘気力をこうして発現できる。
「あなた方は何が目的なのです……」
「?」
男はしずくへの連撃をやめ、しずくに訊く。
「目的も何も、我ら……、というよりししょーは冒険者。依頼をこなすだけなのではないでござるか」
「それで? その依頼とは?」
「……えーっと……」
「おい、そこのお前。お前の依頼はなんだ?」
依頼主に問いかける。
「え、い、依頼は……。ただ、あいつの様子がおかしかったからその調査を……」
「ふん……、ならもう既に達成だろう。報酬をもらい、帰ったらいいじゃないか」
「そうはいかぬでござるよ。あんな化け物で人を謀り、それを育てさせているような行為。正義のためには見過ごせぬでござる」
「正義?」
男が顔をゆがめる。
「お前には、家族はいないのか?」
「……? 故郷に母が一人。それがどうした?」
「その母親が死んだとしたら、貴様だってできる事ならよみがえらせたいと思うのではないかな?」
「……」
それはそうかもしれないが……。
「私も昔、娘を亡くした。それからだ。この研究を始めたのは」
「それで作り出したのが、あの怪物でござるか?」
「あれはまだ研究途中だ。さっきも言ったが、もともとの人間と同じころに急成長させるにはただのクローンや遺伝子から作り出した子どもでは遅すぎる。他の成長速度の速い生物も掛け合わせる必要があった。あの女には幻術を掛けている」
「詐欺も同然ではないでござるか! ご自身のお子さんの方はどうしたのでござる?」
「あの子をよみがえらせるには、材料が足りない。だから申し訳はないが、他の似た境遇の者に頼るしかなかった。たとえ幻術をつかっても」
「?」
しずくは混乱する。
はじめこの男は、自身の子どもをよみがえらせたいがために、実験をしているのだと思っていたからだ。
しかしそれは不可能なのだという。
「私はただ、同じような思いをするものを少しでも少しでも減らしたい。その苦しみを減らしたい! そのためにこの研究をしている! それが私の正義だ!! 何か間違っているかね?!!」
「っ……」
しずくには反論ができなかった。
確かに、その考えや理想は、そこまで間違ったものだとは思えなかったからだ。
「じゃあ、医者かカウンセラーにでもなりやがれ」
いつの間にか男の後ろに立っていた白がそういい放った。
「ち! 黙れぇ!」
その白の言葉に激高した男が白に至近距離から魔術を放つ。
何なくその魔術を握りつぶし消滅させた白が、男の首を掴み持ち上げた。




