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歪んだ愛情と正義のカタチ(2)

 依頼主の町についた。

 山奥にあり大きな町というわけではなかったが、寂れているわけでもない、人口は1000人くらいといったところだろうか。

 依頼主の案内の元、その街中を歩いていく。


「綺麗な街でござるな。拙者の村やデモル京とはまた違う……」


「昔のアマノク大陸はいくつもの国に分かれていたそうだ。随分と昔に統一されたとはいえ、文化の違いも残ってるんだろうな」


 アマノク大陸も広いから、気候や土地にあった建築術というのは変わっていなかったりするんだろう。

 例えば、しずくの村は琉球っぽい家の作りだったな。シーサーとかはいなかったけど、常夏の村だったのもあって、そういうのに強い様式になったんだろう。

 ここは……、わりとリトラルトの文化が入ってくる地域に近いからか、近代っぽい作りになっているな。大正~昭和くらいな感じの家が多い。

 そんなことを考えながら歩いていき、依頼主の家の前まで着いた。


「妻には、仕事で冒険者の方を連れてきて、うちに泊まってもらうのだという風に伝えております。話を合わせていただけると」


 ……?

 話を聞きながら家の横を見ると、蜘蛛のような小生物がカサカサカサと家の下へと数十匹列をなし入り込んでいくのが見えた。


「わかった」


 不快感を覚えつつも余計なことは意識しないでおこうと何も言わずにそう答え家の中に入る。


「おかえりなさい」


 家に入るとすぐに奥さんらしい人が出てきた。


「あら? 冒険者の方と聞いていたからもっと大勢なのかと思って心配していたんですけど、お二人なんですね」

「あーはい。普段はもう少し多いんだが今日は。冒険者の青水白です」

「弟子のしずくでござる」

「あら、かわいらしい冒険者もいるんですね。ほら、上がってください」


 そう俺たちを招き入れた。

 なるほど。半年前とはいえ、こどもを亡くした親とは思えない様子だ。


「うわあ」


 ダイニングルームに入るとしずくは感嘆の声を漏らした。

 テーブルに夕食が用意されていたからだ。しかも割と豪華な。


「さっきもいったけどもう少し人数が多くなると思っていたから張り切って用意してしまいました。たくさん食べてくださいね」


 ニコニコで話す。

 しずくは嬉しそうにしていたが、どうにもやはり気がかりだ。

 なぜあんな上機嫌に……。

 とにかく、深夜になって出かけていくというのを待ってみるしかないか。

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