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たまゆら童の笑い声(6)

「うわあああああ!!」

「で、でたぁあああ!」

「あー、んもうちょっと黙っててくれ」


 2人してテンプレみたいな騒ぎ方しやがって……。

 しかし幽霊の方から出てきてくれたのは好都合だ。話を聞いてみるとしようか。

 その子に目線を合わせ話を聞いてみる。


「えーっと、こいつをここに連れてきたのもお前か?」


 アルノを指さしながら訊く。


「うん。そうだよ。一番取り入りやすくて。あの人を連れてくれば2人も来てくれるかなって」

「……」


 ……会話が成立する……?


「し、ししょー。先日言っていたように幽霊が思念の残滓なのだとしたら、こ、この子は自我らしきものまで残っておらんではないでござるか……? それはなぜ……?」


 しずくが俺の思っていたことを訊いてくる。


「前に言ったあれは、あくまで基本的には、だ。霊力は未解明の部分が多い、故に例外も存在する」


 忘れがちだが、愛歌っていう例外も身近にいるしな。


「俺も驚いたが、この子もその例外の類だろう」

「お兄さんたち、何難しい話してるの?」

「いやこっちの話だ。で? お前は何で俺たちをここに連れてきた? 村を笑い声で迷惑かけてることも関係あるのか?」


 どこまで話してもらえるかわからないけど、一応聞いておかないとな。


「あそんで」

「は?」

「あそんで欲しいの」

「……あー、それだけか?」

「うん」


 えーっと。


「つまりお前は幼い時に亡くなったから、親なんかと満足に遊べなかったの子どもで、その未練で残ってるってことか……?」

「うーん、よくわかんない」


 難しいこと聞かないでよという風に答える。


「こいつがわかってないんじゃあ、どうしようもないな」


 そう言いながら2人の方に振り返った。


「どうする? 遊んでやれば解決するかもしれないぞ?」

「え、ええ……」

「えーっと……」

「悪霊ってわけでもないだろうし、そこまで怖がることないだろ?」

「まあ……」


 渋々といった風に2人は頷く。


「というわけだ。今晩朝までなら、遊んでやれるぞ」


 そう言うと幽霊の女の子は嬉しそうな顔をした。


「やった! みんなー!! このお兄さんたちが遊んでくれるって」

「みんな? っ?!」


 女の子が森に叫ぶと森の中から子たちの幽霊がわらわらと出てきた。

 全部で15人前後はいるだろうか。

 流石にこれには驚いた。


「わああああ!」


 幽霊たちに群がられ、しずくは顔を引きつらせ怖がっていた。


「じゃあ、何をする?」

「えっとね。じゃあ鬼ごっこ!」

「おねえちゃん鬼ね!」


 そう鬼にしずくが指名される。


「え、え、ええええ?!」


 俺たちは一晩中、幽霊たちの遊びに付き合うことになった。

 

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