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雲上での修行(3)

「いちちち……」


 血が滲んだ手に撒いていた包帯を外す。

 すぐに手にまめができて潰れちゃうから包帯を巻いて防いでたんだけど、一日中ずっと刀握って振り回してると、やっぱり多少なりともできちゃうな。

 回復魔法をかけて直し、新しく包帯を巻く。

 その作業をしながらセオリさんの話を聞く。


「武道とは己との対話の対話の手段です」

「己との対話?」

「そう。光も闇もただそこにあるのみ、誘われるも恐れるも自分自身の精神次第。闇を恐れず、光に酔わず、自分との対話の果てに夜の空の様に静かな精神的な調和をめざす。それがこの鬼月流の原点であり、哲学、美学です」


 な、なるほど?


「故に刀を抜くのは、私利私欲ではなく、自身の調和を乱す者に対してのみ。これは夜空さんには心配していない点ですがね」

「……」

「そして自分の中に”静”を生み、その"静"で勝負に勝つ」


 そこがわかんないんだよな。


「例えば戦いの中での読み合い。その中で歩調や息遣いを乱す。周囲の状況を冷静に判断し、相手を自分の有利な形に操作する」

「……」


 前にノアちゃんにも似たとことを言われた気がする。

 けど、それって難しいと思うんだけど……? よくわからないし……。


「すぐにできるようになれば苦労はしませんよ」


 セオリさんは私の思ってることをくみ取ったように、微笑みながら言った。


「あまり期間はありませんが、時間はあります。どこかでコツを掴めればいいのです」

「……それが兆しも見えないんですよね」

「ふふっ。それはそうです。まずは霊共感力を鍛えましょう。前も言った通りあなたに教える技の多くは霊力を使います。鬼月流では妖力とよびますが。その多くは未だ未解明のエネルギーですが、理解はできなくても利用はできる」


 白も言っていた。霊力については未だ未解明だと。

 白も知らなかったであろう活用法。それを妖術とか仙術という形で鬼月流では活用するのだ。

 本当に不思議なエネルギーだ。


「では一度武器を置いてやってみましょう。立ってください」


 そう言われセオリさんと対峙する。


「今から勝負しましょう。ただしお互いに動いていいのは一歩のみ」

「わかりました」


 静かにお互いを見つめ合う。

 ………………。


「っ?!」


 突如強い気迫を感じて、その場で攻撃を防ぐ。

 しかし。


「ぐっ! ぅ……、あれ?」


 しかし思ったのよりも2テンポ遅く、攻撃を受けてしまう。

 それに驚いた。


「こうして、錯覚や手品、妖術、気迫、その他多くのものを使い、相手の歩調を乱す。真の強者いうのは、動いた結果に勝つのではなく、その前から勝っているものなのです」


 ……やっぱ自分にはできる気がしないわ……。

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