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手合わせ

「しずく、まだ疲れてないか?」

「ぜんぜん! むしろ絶好調でござるよ!」


 嬉しそうに答えた。


「よかった。じゃあ、ついてきてくれるか?」

「もちろんでござるよ!」


 少し歩いて、町から少し出て誰もいない西の川辺の広場に来た。


「こんなところに何の用でござるか?」

「せっかく買ったんだ。使いたいだろ」

「え?」

「俺も弟子の実力は知っておかないとな」


 そういって剣一本を構えた。


「い、いや、拙者など師匠の腕にはきっと及ばず……」

「安心しろ。俺は反撃しない。防ぐだけだ。とにかく打ち込んでこい」

「……りょ、了解した。そういうことであれば……」


 そういってしずくは刀を抜いた。


「いつでもいいぞ」

「では、いざ……」


 瞬間、ヒュオっと、しずくの姿が消える。


「?!」


 コンマ数秒後、突如自分の左斜め前に現れる。

 

「っ!」


 俺が何とか目で追う事ができる、そんな速度だった。

 少し下がってその勢いのまま地面を蹴りまた斬りかかる。

 その猛攻をギリギリのところで捌いていく。自身を一切強化していないとはいえ、かなり苦戦した。

 力はそこまで強くない。剣筋も粗削り。

 しかし恐るべきはその体の柔軟さと、バネ。そこから生み出される驚異的なスピードと体の使い方。

 思うままに動いているといった野性的な動きなのだが、脳で描いたままに体を動かせるだけの判断力とと運動神経。

 何度もいうが粗削りではある。しかし我流でここまで極めたんだとしたらガチもんの天才だ。


「よ、よしいいぞ。そこまでだ」


 しずくが動きを止める。


「師匠、拙者どうでござったか?」


 しずくはあれだけ動き回ったというのに息が上がった様子すらない。今まで一体どんなトレーニングをしてきたんだ? 末恐ろしいぞ、まったく……。

 いつかノアにも届く可能性のある逸材だ。


「まったくすげぇよ。いつかフラウロウでも一番の冒険者になれるかもな」

「ふらうろう? というのは?」

「え? ああ、冒険者の文化が世界で一番盛んな街だ」

「へぇ……。デモル京の他にも大きな町がこの国にあるのでござるか」

「いや、別の大陸のフラエル皇国って国の首都で」

「シンノミヤ以外にも国ってあるのでござるか?!」

「え?」

「え……?」


 ……うーん。

 剣の方もそうだけど……、一般教養も少し教えてあげないとまずいかな……。

 そこら辺はアルノにも相談するとしよう。


 それはともかく、冒険者稼業もそれなりに頑張らないとな……。

しずく加入の話が思ったよりも長くなってしまいました。とはいえ、ここでひと段落の予定です。

2年近く前にしずくをモデルにした曲を作ったことがありました。作中より2年程経った頃をイメージした曲なので、少し違いはあると思いますが。

https://youtu.be/xa0oP1v29a8?si=g-4Tm3b_OpLZczKp

曲を作ってからしずくというキャラを作ったのか、しずくというキャラを生み出してから曲を作ったのかは忘れてしまったのですが、

とにかくかなり思い入れのあるキャラクターですので、やっと登場させることができたのは個人的にとても嬉しいです。

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