第3話:遺跡探検!(8)
あー、このままだと死ぬなぁ。
と自分を踏みつぶそうと近づいてくる足を見ながら心の中で呟いた。
こういう時ばっかり、世界はスローモーションに見えてしまう。
しかし動くのは頭ばかりで、体が思うように動いてくれない。
観念して目をつぶった。
「わりぃ。何とか間に合った」
声がして目を開けると、足と私の間に入ってそれを受け止めていた白がいた。
「もう! 本当に遅いよ! もう大丈夫なの?」
「ああ。腸までいかれてたもんだから、動ける程度の応急処置だけだけどな」
白が恐獣の足を違う場所に投げ、水闘気力を使って私を離れた場所に運んだ。
「それよりお前だよ。俺より重症に見えるけど?」
私の先がなくなった左腕を見ながら行った。
「いやぁ。ダメになったもんだから邪魔でさ」
「超人になってすぐの割りに肝据わりすぎだろ」
「ありがと?」
「褒めてはないけどな? 回復魔法は自分で使えるよな?」
「うん。あー免許取ってないけどいいんだっけ?」
「自分でやる分にはいいだろ。そこで安静にしてろ」
「うん」
白が恐獣に向かった。
「白、気を付けて。そいつ魔法も物理攻撃もあまり効かないよ」
「俺が何してたと思ってる? 全部見てたよ。はぁ……、少々本気を出さないとじゃないか」
「……え?」
気づくと白はいつもの剣を両の手に持っていた。
「白って二刀流だったの?」
「いや」
白が腕をクロスさせ構える。
「四刀だ」
そういいながらその二本の刀を恐獣に向かって投げる。
そしてまたいつの間にかどこかから取り出した二本の剣を持ち駆けだした。
二本剣を霊術の念動力で動かし、もう二本を自分の手で扱っている。
念動力はそんなに便利な物じゃない。
ちょっとドアを開けたり、座りながら目と鼻の先にあるペンをとったりする程度。
ただ例外として自身の気力を流し込んだものは、それが霧散するまでの間ではあるが、かなり自由に扱える。
だから白は定期的に剣を投げては、元々投げていたものをキャッチするというローテーションを組んで、この戦闘法を可能にしている。
「ふっ」
本人の剣技もすごい。
回転、跳躍を繰り返し攻撃する。
まるで舞を踊っているかのような剣技だ。
あちこち動き回る白と飛び回っている剣、この2つで恐獣はかなりうっとおしく感じているはずだ。私だったら翻弄されるだけされて、簡単に複数の肉塊になってると思う。
美しい動きなだけでなく、しっかりとダメージも与えられているようだ。
鱗の間を狙って攻撃しているのか、時々血しぶきも上がっている。
「さーてと、とどめだ。光属性魔術:女神の栄光!」
一度距離を取って強化魔術をかけた。
「十二の試練っ!!!」
目にも止まらない速度で恐獣を切り刻んでいき、気づいた時には小間切れになっていた。
―――世利長愛歌の記憶領域:file.19【魔法行使免許】――
フラエル皇国では高度な知識や技量を要する魔法技術の行使は免許制になってるわ。
例えば回復魔法だけでも基礎回復魔法免許、基本回復魔法免許、上級回復魔法免許、蘇生魔法免許などの多くの種類があるわ。
今回の人体の再生となると上級回復魔法免許に区分されてるわね。私と白は既に取得済みよ。
ちなみに回復魔法は難易度の低い物でも高度な術なの。故に回復魔術、というものは存在していないわ。
魔法と魔術の違いについてはいつか話すかもしれないけど、回復魔術と書いてあったら作者の誤字だから嘲笑しながら煽ってやんなさい!
一応、同じ話は何度か読み返したりしているんですけど、細かいとこに気を配るのが苦手な性格な物で、気づけていないものがあったらごめんなさい。
「そうそう。そんなんだからモテないのよ」
愛歌さん……、こんなとこまで出てこないでください……。
ってか愛歌さんのせいで、回復魔術がサジェストされて困ってるんですけど。
「誤字が多いのを人のせいにしないでもらえないかしら? というか人前でだけさん付けちょっと気持ち悪いわよ」
とにかく明日もよろしくお願いします。
「こら無視しないで!」




