常夜の雑木林での肝試し
猿鉄塚に行くのは私と白だけになった。
愛歌がまだデモル京に残って情報収集したいって言ったりとかして、ノアちゃんたちはの事になった。
竜車で近くの村まで行ってそこから歩いく。旅は合計2日弱程かかってしまい、猿鉄塚近くに来る頃には、夜になってしまっていた。
「うっわぁ……」
そこは雑木林だった。
今いるところから道なりに行くと、猿鉄塚に着くらしい。
未知の横にはお墓とか、
「ここ行くの?」
「ああ、だな」
「今? この夜中に?」
なんだろうな。
空気とか、風とか、雰囲気とか、なんか本当に怖い……。
「この場所は霊脈の影響か、常夜の地。実際に夜のわけじゃないだろうが、それくらいずっと暗いれらしい。これを受け取ったときにセキヤミが言ってた」
白がぴらぴらとした符を見せた。
アマハヤ神社以外の各4地には政府が発行する符がないと、結界に弾かれ入ることもできないそうだ。
「つまり、何時に入っても基本変わらない。ならさっさと終わらせた方がいいだろ」
「まあ、そうだけど……」
はあ。ここはいるの怖いなぁ……。
ザッザッザッザッザッ。
光源魔術を頼りに雑木林の中をあるいていく。
パキッ。
「ヒっ!」
ラップ音って言うんだっけ。
静かな雑木林の中に何か物音がして驚いてしまう。
「おい、さっきからくっつきすぎなんだよ。歩きにくいだろ」
「うるさいな! しかたないでしょ! ってか内心嬉しいんじゃないの!」
「お前まで愛歌みたいなこと言い出すんじゃねえよ……」
白が面倒くさそうに言った。
「でもまあ、昔を思い出すな」
「え?」
「ほら、小2だったっけ。近所の墓地に肝試しにつれてかれたことがあっただろ?」
「ああ……、確かに」
「あんときも嫌がってた俺を連れてった癖に、夜空の方がこわがって、俺を盾にしてただろ」
パキッ。パキ……。
「そうだったっけうわっ?!」
返事と共にまた音がして体が跳ねる。
「だから、少しは離れろって……」
「うるさい! ってかなんで白は怖くないの?!」
「いや……、霊っていうのは愛歌と似たようなもんだろ?」
「愛歌は半霊でしょ?!」
「でも本質は同じだし。霊っていうのは霊力が……」
「うるさい! 理論はわかってるけど、まだあまり解明されてないとこも多いんでしょ?! 怖いものは怖いの! 文句ある?!」
はあ、もう! 本当にわかってないんだから!
「あー、じゃあどうしたらいいんだ?」
「うー、どうって言われても……」
あ、そうだ。
「じゃあ、手」
「は?」
「手、握ってて!」
「……。はあ。わかったよ。これでいいか?」
「うん……」
自分で言いだしたのにも関わらず自分の心臓の音がうるさくて、少しだけ怖さが和らいだ。




