アマノク大陸の契約の石
デモル京の私たちが入ってきた方とは反対側……、つまり北側には少し高い崖となっている。
更に行くと山脈になっているそうで、デモル京はその麓に作られた街なのだそうだ。
その崖下の洞窟にセオリさんに案内された。
少し歩いていくとその先には戦闘行為を行えそうなほどの広めの空間があった。
そしてその最奥に……。
「あ、契約の石」
少し高くなったところに、契約の石が置かれていた。
「本当に見つけていたんだな」
「私も、エルリフィから連絡を受けてから今まで、ただ待っていたわけではありませんからね。ここに置き、私のできうる最大限を以て防護しています」
あー、えっとじゃあ、私たちっていらない?
「故に、してもらいたいことは他にあります」
「で? それって」
「それは明日改めてお伝えしますよ。本日は挨拶をしておきたかったのです。もうすぐ黄昏時です。長旅でお疲れでしょう? 本日はゆっくり休んでください」
そう言われその場で解散になりそうだったんだけど、白が疑問を口にした。
「あー、じゃあその前に一つ訊きたいんだけどさ」
「何でしょう?」
「この街に魔霧がないのは?」
「デモル京は私の結界で覆っています。そういった物を含めて幾重の守りをこの石のために敷いている。魔霧が入ってこないのはその副産物ですね」
それは本当に助かるね。
あれが街中にあっちゃ、休むことすら辛いから。
「お、やっと来たね。ちょっと長かったけど何かあった?」
アルノが朱雀門を出てすぐのところで待っていた。歩きながら話を続ける。
「契約の石を見せてもらってたんだ。一応、確認でね」
「なるほど。あの洞窟に入れたんだね。そんな訳ないとは思ったけどよかったよ」
ん?
「それってどういう意味?」
「あ、聞いてない? あの洞窟の入り口にも魔法が掛けられていて、この国に、この街に害をなす意思がある者は、高熱の膜でドロドロに溶かし殺されちゃうって話だよ?」
何それこっわ。
私たちには害がないとはいえ、説明なしにそれは怖すぎだよ?!
「それをしたことで、みんなの中に裏切り者がいたりしないか、確認したかったんだろうね」
うーん、確かに理にかなっているシステム……、なのかな?
「そういえば、今後何するとか話聞いた?」
「ううん。明日、また話聞きに来て、って。アルノは何か聞いてないの?」
「ボクもなにも。ただ、こんなになっちゃったから困っている人もいるだろうし、冒険者として活動していてくれないかってさ」
「それだけ?」
「半年間やってたのはそんな感じの事だけだね。とはいえこの街はフラウロウほど冒険者がいないから、やりがいはあったよ」
そんな話をしながら案内してくれ、いつの間にか下宿先についていた。




