変わっていくもの
数日後、私たちはアマノク大陸に向かう列車に乗るアルノを見送りに来ていた。
「じゃあ、先にシンノミヤ国で待ってるから」
「ああ……、頼んだぞ」
「……」
アルノは窓から少し遠くに見えるクラウノの町を眺めていた。
「本当によかったの?」
「まあね。この国の差別とか悪習とかってそう簡単に消える者じゃないと思うんだけど、でも少しづつきっとこの国もいい方向に進み始めると思うよ。少なくともボクはそう信じてる」
「……そっか」
そこまで話していた時海洋鉄道出立の合図が駅の構内に響いた。
「あ、もうそんな時間か。乗らないと」
「じゃあね。またこんど」
「うん、また」
アルノは列車に乗り込んだ。
それを見送って、気づけばその列車は水平線の彼方に消えていってしまった。
その後私たちはしばらくの間、特別大使? みたいなものとして、新興のリトラルト共和国に半年ほど滞在していた。
私も白もノアちゃんも外交官の真似事なんて得意じゃないってのにさ。エルリフィさんも、わかっててやってるよねもう。
まあ愛歌のおかげでその辺もどうにかなり、何とか仕事を終えることができた。
………………そして半年あまりの時が流れた。
「DISC3:天を衝くビルと響くシンセサイザー」これにて終了です。
読んでいる中で気づいた方が大半かと存じますが、僕は某スペースオペラが好きでして、剣と魔法の世界にSFを組み込んだらどうなるかなという案からこの章は生まれました。
本当はビルの中で大立ち回りみたいな戦闘も書きたかったのですが、似たことを前作でやったしなぁ、とか考えて書いていたら最後には、巨大ロボに剣と魔法で立ち向かうという話になっていました。いかがでしたでしょうか。
この世界での物語は全5章の予定ですので、もう半分を切りました。
最期までお付き合いいただけましたら幸いです。




