あいつは私が殺す
「原初なる神の王の干渉ッッ!!」
白が叫ぶとその指先から黒く輝く光線のような何かが放射される。
オオオオオオンッ!
光線というには少々おぞましい音が鳴っている。
その光線はロボットのあった場所を地面ごと抉り取っている。
20秒ほどたちそれがやんだときそれは地面どころか、奥にあった地面や海すらも削り取り地形を変えていしまっていた。
もちろんあの巨大なロボは見る影もなく消し飛んでいる。
「やっばぁ……」
白はあんまりこの技を使っていたがっていないように見えたが、そりゃあそうか。
災害以外の何物でもないもんこれ。
「あ"、あ"あ"あ"……」
白がうめき声を上げる。
「だ、大丈夫?!」
だいぶ苦しそうだ。
「大丈夫なわけないでしょ」
愛歌が出てきていった。
「全身を、骨から筋力、神経、皮膚、全てをあれを放出するためだけの器官に一時的に書き換えたんだから」
「つまり自分を大砲か何かに疑似的に変えてたみたいなこと?」
「そんな感じ。おかげで皮膚は焼け焦げて、筋線維はズタズタ。治療する方の身にもなってほしいわ」
そう文句を言いながら白の中に戻っていった。
「それにしても……」
改めて、城の有ったところを見る。
「酷いありさまだね……」
とはいえ、フラウロウの時よりは人的被害は最小限に抑えられた方、かな……。
「まだ、油断しないで」
「え?」
「あれ」
ノアちゃんが忠告しながら空を指さす。
「?!」
ズドン!
さっきまでザルザドンがいたところに何かが降ってきた。
「母上……」
それはマールズだった。
「どうやってあれから……」
「緊急脱出装置とか、流石に付けてたんだろうね」
「なるほど……」
白はこんな調子だってのに。
「夜空、アルノ行ってきて」
「え? ノアちゃんは?」
「私はここで白を守る」
あー、ノアちゃんはそうか……。
「わかったよ。もし負けたら後は頼むよ」
「ん」
マールズに近づいていく。
「おのれ……、おのれおのれおのれおのれぇ!」
マーズがドンドンと人格を変えていく。
今まで抑えてたけど、こっちが素なのかもしれない。
正義の弾丸軍ってこんなのばっかなのかな。
「私の200年の計画を……! ただで済むと思うなよ! ゴミ共ぉ!」
そんな風に怒っていたかと思ったら、今度はそれを高笑いへと変えていった。
その不気味な笑い声だけが、辺りに響き渡る。
「いいでしょう……、いいでしょう! もう、いいでしょう。そんなにお望みなら、私が、全てを壊して差し上げましょう。そうですね、まずは……」
「危ない!」
アルノを突き飛ばす。
そのさっきまでアルノがいた場所を光の弾が貫いていった。
マールズが放ったみたいだ。魔術は使えないものと思っていたが、あの程度の攻撃ならできるらしい。
「あなたから殺して差し上げましょう。こんな失敗作、もう必要ありませんからねえ!」
「は、母上……」
こいつ……。
「アルノ。手出さないで」
「え?」
「あいつは私が殺す」




