原初なる神の王の干渉
―――時は少し戻りノアが白の所から離れてすぐ……。
「じゃあ、やるぞ」
『はいはい』
深呼吸をして準備をする。
「水火魔術:蒸発……」
魔術で無理矢理、上昇気流を生んだ。
「水氷魔法:雷雲生成……」
数分たって、またゆっくりと静かに唱える。少しずつ少しずつ、当りが雲に覆われ暗くなっていった。
『白、あと、どれくらい?』
ノアから念話で聞かれた。
『そろそろ雷を降らすことができる。そうしたら一分くらいだ』
『わかった』
そしてまた少し経って……。
「氷風魔法:帯電……」
そして次第に空が光り、ゴロゴロと音がなるようになっていく。
あと少しだ。
「俺の中に眠る水神よ。我が腕に荒れ狂う光の矢をっ!!」
詠唱すると、掲げていた右腕に雷が降り注いだ。
物凄いエネルギーが右腕に蓄積される。
「く、うぅう!」
『で? どうするの?』
「黒闘気力にケラウノスと俺の体を食わせる!」
『は? えっとつまりそれって……。いやいやいや、死ぬ気?!』
「死なねえよ。愛歌と俺がミスんなきゃな」
『そうでなくてもただで済むとは思わないけど?』
「じゃあ、あれを放置するか?」
『はいはい。わかったわよ』
俺はわざの準備をしていく。
「ディイ ディス アス アリィ アス
ディイ ディス アス アリィ ホールヌォ……」
ゆっくりと詠唱をすすめ……。
*
ピカっと空が光音が鳴る。
白のとこに雷が落ちたみたいだ。
「そろそろ撤退の準備だね」
「そうなんだけど……」
このタイミングでロボは拘束を脱してしまった。
このままだと近づかせすぎてしまうかもしれない。
「はぁ、もう……。ノアちゃん! 私を投げて」
「ん? ん、了解」
ノアちゃんがバレーボールのアンダーハンドパスをするように構えて、私はそれに乗り投げ飛ばされる。
さてうまくいくといいんだけど。
腕のあたりに乗って、その上を走っていく。
腕を大きく動かされたので、肩にジャンプして乗り移った。
そして。
「おりゃあ!」
顔のあたりを強化した脚で思いっきり蹴りつけ、そこを起点に大爆発を起こす。
「よっし!」
ロボットがバランスを崩し後ろに倒れていくのを見た。
これで少しは時間が稼げるだろう。
しかし。
「あー、やばい」
私も爆風で吹き飛ばされてんだよね。
「風属性魔術でなんとか落下ダメージを減らして……」
なんて考えていたとき、空中で誰かに体をキャッチされる。
「ああ、ノアちゃん、ありがとう」
「ん、逃げるよ」
そのまま抱えられて白の所まで引き返した。
*
「急いでくれ!」
アルノは既に戻ってきた。
あとはノアと夜空が戻ってくれば……。
「ごめん。待たせた」
「いや、ああ、してくれていれば確実に当てられる。最高だ」
前に右腕だけを突き出し、対象に対して指をさした。
そして。
「原初なる神の王の干渉ッッ!!」




