プランB
「夜空」
爆発に乗じ、ノアが石を手に取り夜空に投げる。
「ありがとう!」
それを、壁が爆破された方に走っていた夜空に投げて渡す。
しかし。
「っ?!」
レッドの放った魔術によって、フェイサートの船が撃墜されてしまう。
「あー、えっと……、どうしよ……」
「じゃあ、プランBだな」
「え、何それ?」
そんなの考えてないんだけど。
「お前が持ってろ。取られんなよ」
「えええ?!」
夜空にそれだけを告げ、俺は俺の役目を果たしに行く。
「てめぇら5人は俺の担当だ」
「はあ? 1人で我ら5人を相手にすると?」
「そう言ってんだろ。なんで繰り返すんだ? あー、魔界人って耳がついてないのか。そいつは悪かったな謝るよ」
ドンっ!
ムカついたのか、それとも馬鹿にされたことだけはわかったのか、レッドが火を纏わせた拳を俺のいた場所の床に叩きつけた。
「いいだろう。お前ら! こいつをまずは可愛がってやるとしようじゃあないか!」
そうレッドがいうと、他の奴らも戦闘態勢に入った。
『で? 本当に倒せるんでしょうね? 格好つけたわけじゃあなくて』
愛歌が訊いてくる。
「多分な。いくら魔界人っていっても、あの死神レベルの敵じゃあきゃ、有象無象に変わりない」
『そう言うなら信じるけどね』
「こいつらは俺だけでもなんとかなる。愛歌は全体を見ておいてくれ」
『了解』
魔界人5人との戦闘を開始した。
*
「お前が持ってろ。取られんなよ」
「えええ?!」
それだけ言って、白はどこかに行ってしまう。
「そんな……」
無責任な……、とは言えないか。これは私たちの計画だし。
でもさ……。
「うわ?!」
「石を渡しなさい」
「っ」
フードの奴が槍で私を貫こうとしてくる。間一髪のところで避けた。
その後も槍の鋭い攻撃が飛んでくる。
(こいつ、強い……!)
今の一瞬で、そう気づかされるだけの力を持っていると感じた。
魔界人としての階位は低くても本人の戦闘能力はあの5人を上回ってるぞ……。
カーンっ!
私とフードの間にノアちゃんが入り込む。
「今回は夜空は下がってて。後方からの支援をお願い」
「わかった」
満タンのプールに水滴を落とす程度の効果かもしれないけど、一応ノアちゃんに強化魔術をかけておく。
「ありがと」
「うん」
それだけの話をして、ノアちゃんとフードの奴の直線上の後ろに下がった。
*
「それで父上? こうなっちゃったんだし、教えてくれないかな」
「何をだ?」
アルノは王の目の前にまで歩いていく。




