第3話:遺跡探検!(3)
カァーーンっ!!!
数回目の甲高い音が周囲に響き渡る。
白が響鳴石、という石二つをこすり合わせたんだ。
人にはそれぞれ固有な魔力の性質……、魔力特性ってものを持ってたりすることがある。
私のはまだわかってないんだけど、基本的に魂源に近い性質になることが多いらしい。
白の場合は"流動"から派生したものらしく、空気の波を検知する能力。
より詳しく言うと、音波を感知する能力。
故にこうして魔法的音波を出すことによって、周囲の状態を把握することができるらしい。
なぜそんな事をしているのか。それを説明するには数分前に遡ることになる。
「なんで何もないの?!」
私たちは地図にしたがって進み、数日をかけ隅々まで調べ尽くした。
しかし何も発見できず、怪しいものを発見もできなかったんだ。
「じゃあ、なんでこんなキメラがたくさんいるわけ?!」
「そう、それが説明付かない。だからここに何かあるはずなんだ」
そんなこんなで今、音波を使って遺跡をスキャンしつつ、再調査しているところだ。
最初はびっくりしたけど、今はもう慣れてきた。
「ん? なんだ?」
数時間経った時、白がそうつぶやいた。
「何か見つけた?」
「ああ。この壁の奥、何かあるぞ」
今自分たちが歩いているすぐ横の壁を指さす。
「何かって?」
「音が返ってこないとこがある。つまり奥に道が続いてるな。えーっとあそこら辺だったかな?」
白が上の方の石レンガの一マスに石を投げる。
すると壁が少しづつ動き出し、その先に通路が現れた。
「いや、ダイ〇ゴン横丁か」
心の中で突っ込んでいた。
―――世利長愛歌の記憶領域:file.17【古代エルフ文明】―――
フラエル皇国が興る以前のエルフ文明を指す言葉ね。
元々記録があまり残されていなかった時代だったのにも加え、大戦期、暗黒期を経てほとんどの記録が失われてしまった。
本日は少し短くなりました……。
明日もよろしくお願いします。




