火山からの脱出
「フェイサート聞こえる?」
ノアちゃんとアルノに回復魔法をかけつつ、フェイサートに連絡した。
そんな事言っている間にも、地面の揺れは激しくなってくる。
日本出身の私ですらちょっとヤバいかもとか思い始める強さになってきた。
この場所もいつ崩れるかわからない。
「―――ああ、聞こえているぞ。何日待たせるつもりだ」
「あー、はいはい。待たせて悪かったね」
高い金払ってるってのに注文の多い傭兵だ。
「とにかく、今から火山の表面のどこかを破壊するから、その場所に迎えに来て!」
「了解した。上空から観察するから少し待っていろ」
「急いで。火山が噴火を始めてて、今にも溶岩か噴石に潰されそうなんだ」
「知ったことか」
こいつ……。
仮にも雇い主なんですけど? まったくもう……。
「いいぞ」
「いくよ!」
爆破だけでなくできる限り目印を残せるよう、光属性魔術を強く織り交ぜて爆破した。
「確認した。30秒後に船をつける。死ぬ前に乗り込め」
ふう。
何とかなりそうかな。
「あれ、夜空……。敵は……?」
「ごめん、石、取られちゃった」
「そっか。負けたんだ、ボクたち」
……アルノの声は落ち込んでいた。
「とにかく、立てる?」
「う、うん。なんとか」
「よかった。もう少しでフェイサートが来るから準備して」
「うん」
少しした後、フェイサートの船がきて、間一髪のところで火山の中の遺跡から脱出することに成功した。
*
「ん? ノアか?」
エルフの人たちと、話をしていた時ノアから連絡が入った。
「どうした?」
それまでの経緯の報告を受けた。
「……ああ。……ああ。……うん。わかった。また方針が決まり次第連絡してくれ」
珍しく、だいぶ落ち込んだ声してたな。
「なんだって?」
愛歌が訊いてきた。
「石を見つけたけど奪われたってさ」
「ええ?!」
エルフの人たちは驚いていたようだった。
「敵はあの魔界人五人組だそうだ。そりゃあ分が悪いよな」
「それなら仕方ないかもね」
「そんな風にのんきに話している場合ですか?! どうするのです?」
「いったん、あいつらの連絡待ちだ。石の事はあいつらに任せたんだからな」
「…………」
まあ心配ではあるが。石の事はあっちのほうがよくわかっているだろう。
口出しすることもない。




