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私たちは賭け事には向きません

「え、えっと……、お待たせ……」


 気まずい気分になりながら待ち合わせ場所に行くと、すでに二人は来ていた。


「えーっと、その、お二人はどのような調子でありましたでしょうか……」


 わけのわからない敬語を紡いで訊く。


「ノアチャンは調子が良かったみたい……」


 その言葉の様子を見て、アルノを見るとその顔色は結構悪かった。


「アルノは……」

「あーえっと、残ったポイントは殆ど0……、そっちは?」

「私も……」


 仲間がいるって考えるとついつい安心してしまうのだが、ぜんっぜん安心できる状況じゃない。

 話を聞くと、ノアちゃんのおかげで8万フルくらいはなんとか保てているらしい。

 それでも3歩進んで4歩下がってしまった状態なわけで、このままではいつまでたってもここから出ていけなくなってしまう。


「で? 夜空は何で勝負したの?」

「えっと、セントソナタっていう、マシンで……」

「はぁ……」


 ノアちゃんが大きくため息を吐く。


「切羽詰まって金に困ってるって時に、なんで筐体型のゲームにするの?」

「え、だって、賭け事は初心者だし、そういうほうが簡単かと思って」

「はぁ……、そういうタイプのゲームは完全に運に全てを任せることになる。自身で操作できるところも操作させていると思わせることで、自身の実力も必要なものだって錯覚させてるだけ。機械側の裁量によって当たるか当たらないかが100:0になりやすい。そういうのはこういう状況には向かないでしょ」


 え、いやでも……。


「あなたみたいな超人や私みたいなのは、たとえ力に枷を着けられていたとしても、五感なんかはある程度鋭いままになる。そういうので勝負せずに運で勝負できるほど、今私たちにツキが回ってきてると思う? 私がイリューシンホイールをやっている間、何を見ていたの?」

「………………」


 すんごい詰められてるけど、正論過ぎてぐうの音もでません。


「逆にアルノはそういう筐体型のゲームにするべきだった。あなたにはカードゲームやダイスゲームみたいな人との読み合いや、大胆な勝負勘を必要とするものは向かないでしょ。自分の気質を考えて」


 あー。アルノって堅実で真っ直ぐな感じだもんね。


「いや、あ、あの、本当に、ごめん……」


 アルノも落ち込んでいる。

 いや本当に、私たちはカジノには向かないよ……。

 ああいうのってお金に余裕のある人が戯れにやるものなんだなとあらためて認識させられた。


「まったく。このままじゃ、一週か……、7日はここに出るのにかかるよ」


 ノアちゃんが呆れる。


「ちょっとそこの嬢ちゃんたち」


 どうしようかと悩んでいた時、そう男性に声を掛けられた。

 

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