第3話:遺跡探検!(1)
星ちゃんの事件から、数十日が過ぎた。
私たちは今、依頼のために葉車に乗っていた。
葉車というのはこの国の交通機関。
私たちの世界で近い物はタクシーかな。
これが結構快適で目的地に着くまでの長い時間も少しは楽になる。
そういえばこうしてのんびりと白と2人で依頼をこなしている間、機動力と戦闘力のあるノアちゃんと、調査と記憶が得意な愛歌さんで解決依頼数を荒稼ぎしている。討伐依頼とか、小さなものでね。
目的の街に到着しさらに一日歩いた後、ようやく目的の村に着いた。
そして村長さんの家に向かった。
「お待ちしておりました。中へどうぞ」
そう。今回私たちはわざわざ招待状……、というか依頼書みたいなのを貰ってこの村に来た。
ってなわけでどんな依頼をされるのか大体のとこも把握している。
この村の近くにある遺跡の調査だ。
なんでも約50年前に見つかった古代エルフ文明の遺跡なのだそうで、当時は多くの冒険者がその遺跡の調査のために訪れていて、この村も結構にぎわっていたのだという。
「で、今更になってなんでそんな遺跡を?」
もう調査されつくした遺跡だ。
私たちが何かすることもないだろう。
「はい、それが……」
村長さん曰く、ここ最近村の周辺に魔獣が今までより多く出現しているのだという。
しかもそれが学者に見せても見たことがないという、新種のものだった。
それが一種類だけなら新種が見つかったんだな、で済んだのだがここ数十日だけで何十種類って見つかってしまった。
あまりにも異常すぎて調べたところ、その遺跡から生まれてきているのではないか、と推測されているらしい。
「で、そこを調査してほしいってわけですね?」
「はい。見つかった魔獣もかなり危険な種が多いらしいのです。フラウロウのドラゴンを討伐したようなパーティの方でしたら安心してお任せできると思いまして」
なるほど。
「学者まで呼んで調査したんだろ? 俺らが行っちゃっていいのか?」
「安全なだけの治安隊を呼ぶのも時間がかかります。まずは調査という事で冒険者を雇うというのはこの国では普通の事ですよ」
愛歌さんの操作……、というか捏造した戸籍なんかのおかげで、私たちは"シンノミヤ"という国の出身ということになっている。
それを知って、この国についてを教えてくれているみたいだ。
「では、明日には遺跡に向かいますね」
報酬など色々と決めた後白がそういったことでその場の話は終わった。
―――世利長愛歌の記憶領域:file.16【シンノミヤ国】―――
世界三大国家の一つ。
フラエル皇国の倍以上、4000年近い歴史を持つ。
夜叉鬼という種族である天皇として君臨し続けている。
フラエル皇国とは親密な関係を気づいている
9月からもよろしくお願いします。




