ゲーム②:セント・ソナタ
「お"え"……。何この臭い……。ラフレシア……?」
セントソナタ。香りと和音が生成されるスロットみたいなものだ。
まず6つのボタンから3つを選ぶ。
それぞれ、赤、青、緑、黄、桃、灰。その色のテーマっぽい香りが錬成される。
それが筐体に乗ってる3つのフラスコのようなものから出てくる。
赤は、焚火の薪やアルコール、香辛料など。
青は、海や雨、煙草など。
緑は、森や草いきれ、苔っぽい匂いなど。
黄は、果実かお金の様な金属っぽ宇い匂いなど。
桃は、花やスイーツの様な甘い香りが多い。
灰は、その他。古い本みたいな香りから、土壁みたいな香りまで様々。
それぞれにはいい香りも嫌な香りもある。その上、3つの香りの混ざり合い方が最終的な結果になる。
例えばそれぞれの香りがいい香りでも、出来上がったものが悪い臭いである。そんなこともあれば、1つ香りが最悪でも他の2つとの相性によってはアクセントとしていい香りになることもある。
そして出来上がった香りによって上の3つの鐘から和音が奏でられる。
いい香りなら心地いい和音が、嫌な香りなら不協和音が鳴る。それによって大当たり、中当たり、当たり、小当たり、はずれ、の5つの結果に合わせチップが帰ってくる。
最初はとっつきにくいと感じてしまったが、慣れてくるとハマってしまった。
「……あれ?」
そして一時間が経って、そろそろ集合だなと思って自分のチップをみるとそのほとんどが亡くなってしまっていた。
「そ、そんなに使ったかな……」
今までわからなかったけど、なんかギャンブルにハマっちゃう人の気持ちがわかってきた気がする……。
このマシン、当たるとすごく良い匂いと音に包まれるからすっごい気分がよくなっちゃうんだ。
それでまた似たものを味わいたいと思って、次々ってやっちゃう。それに、やってるうちに成功しやすい石の組み合わせとかもわかってきて、次こそはあたる! とか根拠もなく思ってしまうんだ。成功体験って怖いね。
前にパチンコ店に入ってみた時はお金溶かして出てきただけだったから、まったく楽しさがわからなかったんだけど、逆にあれって運がよかったのかもしれない。
「なんて考えて現実逃避してる時間ないんだよな……」
とにかく集合場所に集まって、しっかり謝らなきゃ……。




