ゲーム①:イリュージョン・ホイール(2)
「すごいな……、7番のチャレンジャー、結局黄も赤の◆も出さなかったぜ?! 一体どんな幸運の持ち主なんだ?!」
ノアちゃんがイリュージョンホイールを、30ゲームを終え席を立った時、周りにいた観客がそう話していたのを聞いた。
このカジノではスロットのようなマシン相手の遊戯を除き、同じゲームを連続して遊べる回数の制限がある。イリュージョンホイールの場合30回らしい。
その間ノアちゃんは外れのカードを上手く外し、その上5回に1回は赤のカードを出していた。
「どうやったの?」
少し離れたところで聞いた。
「このカジノ会場に来てからいくつかのゲームを観察していた。3ゲーム分くらいみればルールは大体理解ができる」
なんでもないことのように言った。
「いやいや、それもすごいんだけどさ。私が訊きたいのは何で外さなかったかってはなし。どうやったの?」
霊力を使えれば私もできる可能性がある。
でも今は枷をはめられている。今付けているのは死神の枷よりは効果の威力が弱まったものではあるし、霊術も少しは使える。がしかし、いかさまできるほどではない。
「私はあなたたちとは視力の出来が違う。もちろん、動体視力も」
「え?」
「はい?」
アルノも驚いている。
つまり回転する前に表になったのをみて目で追っかけて当ててた、っていうパワープレイってこと?
「とはいえ狙ったカードに当てるだけの技術が、この枷のせいでなかった。だから、比較的安全なエリアに向かって投げていた」
赤の◆とか、黄色が固まってるエリアとかをできるだけ避けて投げてたってことか。
いや、簡単に言うけどやってることやばいよ?! アルノが言ってた駆け引きとか何の意味もなくなっちゃったからね?!
「なんにせよこれで、だいぶ溜まったね」
これでだいたい合計10万フル弱。これをさらに10倍にすればいいわけだ。
「一旦、光環チップをあと2つ買おうか。グループで中のポイントを分けることもできるみたいだから、それぞれでゲームをして来て一時間後またここで落ち合おう」
アルノの提案で私たちはバラバラに別れた。
「っていっても何からやっていいのかわからないな……。あれ?」
少し歩くとスロットの様な筐体が並んだエリアがあった。
「あー、こういうのなら自分の技術ってほぼいらなそうだし……、きっと初心者でも簡単だよね?」
そう考え空いてる席に座った。
光環チップを起動し、説明を聞いた。
『このゲームは香奏の輪舞と呼ばれ、香りと和音で勝負するゲームです』
え、視覚じゃないの?
やっぱやめようかな……。




