ゲーム①:イリュージョン・ホイール(1)
「それで……、アルノ?」
「な、なに?」
アルノもそこの異様な雰囲気に圧倒されているようだ。
「アルノは、経験あるの? その……、こういう場所での賭け事のさ」
「あるわけないでしょ……」
「いやあ、それはわかるけどさ。一応、この国の人なんでしょ?」
「そういう夜空はどうなの?」
「えーっと、似たようなことで遊んだ経験はあるけど……」
18歳になってちょっとの所で、ちょっと興味持ってパチンコ店入ってみたことあったけど、全く当たらず5000円溶かしたもんだから二度とやらないと思って出てきた。
あとはこの世界に来てからパーティメンバーと飲み物やご飯の奢り賭けて、ブラックジャックやらポーカーやらやってみたり……。
お世辞にもカジノとかそのものの経験があるとは言えない。それに。
「この世界のカジノのゲームは一切わからないよ」
そう。私たちの世界のカジノであれば何となくルールがわかる。
ルーレット、スロット、バカラ、シックボー、ホースホイール等々……、遊んだことはなくても映画とかアニメとかで、知識はあるものがいくつかある。
ただ異世界のカジノとなると全くルールが想像つかない。
一応、何かのゲームの近くで光環チップを使うとそのゲームのルールを教えてくれはするらしいが、それでプレイできるまでになるかというとわからない。
負けまくる未来しか見えず躊躇してしまうのだ。
「はぁ……、まったく」
「え?」
そうため息を吐いたノアちゃんが私の手から光環チップを奪って一つのゲームの所にまで歩いて行って席に座った。
「えーっとなに? イリュージョン・ホイール?」
「ほらみて」
ディーラーの周りにノアちゃんと同じように座っている挑戦者が6人。
かなり大人数でできるタイプのものみたいだ。
そして見ているとディーラーが何かの装置を起動した。すると大量のカードのホログラムが観覧車のような円を作り宙を浮いた。その面には4種の色で記号が書かれていた。
5秒後、全てのカードが裏返り高速で回り始めた。
もうどのカードがどのカードかわからない。
「参加者はチップをベットして、光環チップを投げてカードを1つ弾く。カードは赤青緑黄の4種類の色があって、数は赤青緑黄の順に増えていく。半分以上が黄になることが殆どかな。逆に赤は2~4枚。全部で40~60枚になる」
「ふむふむ」
私が元の世界のカジノのゲームを軽く知っているように、アルノも少しはわかるみたい。
「赤だと大当たり、チップは10倍になる。青だと5倍、緑だと2倍、黄色だと没収。ただしカードには●▲★◆の記号がある。このゲームではほとんど記号は意味ないんだけど。赤の◆だけはまずくてね。引いちゃうと」
「おっとぉ! 今回のホイールの女神は7番チャレンジャーに微笑んだ。対して5番の方は残念! 赤の◆だ!」
「おお……」
「くっそぉ! 二回連続だぜ!」
7番がノアちゃんどうやら見事赤を当てたらしい。すごいな。
そして5番の男性はというと……。
「赤の◆を引くとかけたチップと同額をさらにチップから引かれるの。チップが足りなかった時は0になるまで取られる」
「うっわぁ……」
難しそう。
「けど、そうなるとほぼ運だよね。駆け引きとかあるの?」
「カードは全部で1000枚。詳しくはないけど何のカードが何枚あるのかは決まってる。詳しい人はそれを覚えていて、赤の◆がなくなったあとや、他のカードが減ったであろうタイミングで多くベットする。そのタイミングで最低数の40枚になってくれたらさらに当たる確率が上がるよね。これも大体読む方法があったりするらしいんだ」
なるほど、運が8割で残りの2割を自分で同操作できるか否かで勝つ可能性が上がっていくってことか……。
頑張れ、ノアちゃん……!




