お金が、無い!!
「また革命だの国家転覆だの。最近の流行りなのか?」
冗談めかしながらフェイサートが言った。
「私たちは手伝ってとは言ってない。まずは船で火山に連れてってもらってその周りで待機。石を手に入れたら今度はクラウノまで船で連れてってほしい。それ以上は望まないから、革命の手助けにはならないでしょ」
「そう思うのはお前たちだけだ。裏に別の組織がいるとはいえ国が探しているものの奪取。それに国家転覆。その犯人を送るとなれば、その幇助をしている見られても仕方ないだろうな」
まあ、確かにね。
「とはいえ、俺も無法者だ。そんなことを気にしはしない。問題は」
「わかってる金でしょ」
「ああ」
「いくら欲しいの?」
「そうだな」
フェイサートが足を組み背もたれに体重を預ける。
「前金800万フル、報酬1000万フルでどうだ」
「はぁぁあああ?!」
合計で2億円は超えてるよ?!
「ちょっと流石にそれは吹っ掛けすぎでしょ?!」
つい叫んでしまった。
「貴様らを賞金首として突き出せば3憶手に入るんだぞ」
「う"」
「報酬金はいくらでも出せるよ。言い値を言ってくれればいい。でも前金だけでもどうにかならない?」
ああそうだった。この子を王様にする計画だった、これ。
全部終わった後ならお金なんてどうにでもって思ってるみたいだけど、それ国民にばれたら糾弾されるんだろうな。
「少しは考えてやってもいいがそうだな……、前金は400万、報酬1200万フル、だな」
いやそれでも前金約5000万円ですが?!
「前金100万、報酬2000万フルならどう?」
「ふん。いいだろう。だが、100万も今手持ちはあるのか?」
そうだよ。それでも1000万円下らないくらいのはずだよ……。
「それはどうにかする。だからいつでも出られるように準備、しといてよ」
「いいだろう。あまり期待せずに待っていてやろう」
そんな嫌味を背に私たちはその場を後にした。
「で、夜空チャン……」
アルノが向き直る。そして申し訳なさそうに訊いてきた。
「正直今、手持ちってどれくらいある?」
「えーっと今は……、2万フルちょっとくらいかな……」
日本円にすれば20~30万円くらいだろうか。
「私は9000フル。あまりお金は持ち歩かないから」
ノアちゃんが続ける。
「そっか。ボクも夜空チャンと同じくらい」
「どうしよ。私、体売ってこようか?」
「え?! いやいやいやいや! ダメだよ。女の子がそんなこと軽く行っちゃあ」
アルノは驚きながら止めてくれる。
「あはは。別に私は問題ないけどね。積極的にやる気にはなれないけどさ……」
慣れてる、ってことはないんだけど、自分の体はお世辞にも綺麗な身であるとは言えないもんだから。
「いや、ダメだって! そんなことボクが見過ごせないよ!」
「そっか。ありがと。じゃあどうする?」
「まあそうなったら、手は一つしかないでしょ」
「あー、それって私が考えてるのと同じこと?」
「多分ね」
「それも健全とはいいがたいと思うけど……」
とはいえ他に手も思い浮かばず私たちは、この町の中心部、カジノへ向かった。




