フェイサート
「ここーかな……」
街を彷徨って色々な話を聞きながら、何とか目的のとこまでやってきた。
サーザの中でも比較的治安がいい、とされている地域だ。
そこに何があるかっていうとSEL-Sとか飛空船のドッグが並んでいるエリアらしい。
私たちはその一つに入っていった。
「えっとここは誰がいるの?」
「行けばわかるよ」
そう話しながら進んで行き船のドッグまで着いた。
そしてそこで見覚えのある船の整備をしている男がいた。
「フェイサート!」
あーやっぱり? アーマーを着てなかったから一瞬気づかなかったけど世格好は似てるなと思ったんだ。
「依頼したいことがあるんだけど!」
そこまでアルノが言った時、フェイサートは舌打ちをしながらこちらに振り返った。
「貴様らとはもう関わる気が無いといったはずだ。帰ってくれ」
「なんで? 依頼者をないがしろにするのはどうなのかなぁ?!」
「貴様らと関わるとこの子が毎度大ダメージを受ける」
ブフォ。
つい吹き出してしまった。
飛空船に向かってこの子だってさ。可愛い一面もあるじゃん。
「あ、ごめんごめん」
アルノとフェイサートに睨まれたので謝っておく。
「報酬なら少しは頑張るからさ」
アルノは切り替えてまた交渉に移る。
「はぁ……」
フェイサートはまた船の整備を始めた。
「貴様らが入ってきたところの近くのドア、そこから応接間に行ける。少し待っていろ」
「ありがと」
私たちは言われた場所に行った。
「あいつ、結構几帳面なんだね」
かなり綺麗にしてある部屋だった。
「それで? なんでフェイサート?」
そこに座って少し落ち着いてきたとき、聞いてみることにした。
「うん? それはほら、あいつ、腕は確かでしょ?」
まあそうだね。
不意打ちとか初見殺しだったとはいえ、ノアちゃんを二度も無力化したわけだし。
「それに拝金主義者だから、お金さえあれば裏切りはしないはず。他の賞金稼ぎと比べてもただのチンピラってわけじゃなく、ある程度の常識も持ち合わせている。だから、かな」
なるほどね。
「でも、それって1つ問題があるよね」
「うん……、そう。お金、ね」
お金で動く人は、より大きなお金を出されてしまえば簡単に寝返るだろう。
そうでなくてもまず最初にあいつを動かすだけのお金を私たちはどう捻出すればいいのか。
「それは確かに問題だな」
部屋にフェイサートが入ってきた。
「それで、なんだ。依頼の内容くらいは聞いてやる」
「……」
私たちは依頼の内容を話した。




